月商700万円を誇る『ハカタホタル中目黒』。博多ブランド×SNSで20~30代女性を集客!
人気の博多弁と背後にある文化
③(博多ブランドの魅力)は独自の食文化を持つ博多を前面に押し出した点にある。「ごまかんぱち」(1,600円)はゴマだれと醤油だれが刺身の旨みとミックスされた人気メニューで、注文率90%を誇る。マグロ、いくら、ウニ、ほたてなどを贅沢に乗せた「ばくだん」(1,750円)は、博多の海の幸を届け、こちらも90%。博多といえば「もつ鍋」で、「もつ鍋あこだし醤油」(1人前1,400円)と「もつ鍋重ね味噌」(同1,500円)の2種類を揃えている。
このように博多をメインに打ち出しているため、博多由来の料理はどれも人気となっている。これがエスニック料理のように全く日本料理とは異なるテイストであれば、客の来店の頻度も落ちると思われるが、「鍋が食べたい」「海鮮がほしい」という日本料理の中の抽象的な需要の枠内に収まりつつも、博多の独自性が打ち出されているという点に多数の客を呼び込む要因があるように思える。
O・B・U Companyでは「東京では博多ブランド、また、食材での九州ブランドはとても効果的で優位性があり、お客様にはわかりやすく伝わりやすいと感じています。今後も博多ブランドを前面に出して集客に繋げていきたいと考えています」とする。
また、食以外の博多ブランドも人気の要因と思われる。グラスに書かれた博多弁は、人気のある言語である。旅行情報サイト「じゃらん」が調査した「方言が魅力的な都道府県ランキング」で福岡県は1位となっている。
記事では「『~しとっと?』『~ちゃけど』をはじめとする博多弁の語尾やイントネーションが好きという声が最も多く、『橋本環奈さんや今田美桜さんなどが話していた博多弁がかわいくて好き!』…など、全体的に“方言のかわいさ”に関するコメントが多く寄せられました。」と紹介されている(以上、じゃらんnet・方言が魅力的な都道府県ランキング発表!1位は語尾が“ばり”かわいい福岡県♪)。
他でも同様の結果が出ており、この種の調査では常に京都弁とトップを争う。こうした人気の裏には言語の背景にある文化に対する評価があるように思える。福岡県は多くの芸能人、アーティスト(井上陽水ら)を輩出しており、また、1970年代には音楽グループが数多く活躍、博多で人気が高まれば東京に出てくるというパターンが多かった(チューリップ、海援隊など)。東京から見て、京都・大阪・福岡は「独自の文化を持った都市」という一種の敬意があり、同程度の人口を有する東京のベッドタウンとは明確に区別しているように思える。グラスや割り箸袋の裏に書かれた博多弁などでアピールし、博多の文化的評価を巧みに利用して店舗のイメージアップに繋げたことが成功の要因となったと見ることもできる。
安定した運営へ改善を
オープンから足掛け6年、すっかり人気店となったが、本社はさらなる成長を求めている。「昼呑み、早呑み、0次会など夕方前から”呑める場“のメニューづくりや、ノンアルコールのお客様でも楽しんでいただけるメニュー、また、インスタ映えするメニューなど、我々、福岡では遅れている、手をつけることが出来ていなかったところを先行して実践し、成功実績をつくってくれました」と、その実績を評価しつつも「年間を通して安定した運営を業績から見てもできていない時期・季節があるので、安定した運営ができるように改善すべき点は改善する必要があると考えています」と厳しい指摘も忘れない。
この点を井上氏は「どうしても6月、8月ぐらいは季節的にもつ鍋があまり出ません。そのあたりをどう克服していくかが今後の課題です。『ほたるの土鍋ご飯』(一合2,500円)をすすめるなど、考えていきたいと思います」と意欲を見せる。
その上で「アルコール離れする若い層へ居酒屋の楽しさを伝える存在となり、中目黒の街に愛される中目黒一の博多居酒屋になれるように頑張っていきます」と話した。
『ハカタホタル中目黒』
住所/東京都目黒区青葉台1-23-12
電話番号/03-5734-1126
営業時間/15:00~23:00、土日祝13:00~23:00
定休日/不定休
席数/56
