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2022年の外食売上、前年上回るもコロナ禍前に及ばず。パブ・居酒屋は19年比49.2%と苦戦

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画像素材:PIXTA

日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査 年間報告(2022年)によると、外食産業全体の売上は前年比113.3%と2021年を上回る実績で着地した。しかしコロナ禍以前の2019年と比較すると、好調なのは「ファストフード(108.6%)」に限られ、その他の業態は100%に満たない。なかでも酒の提供が中心となる「パブ/居酒屋」業態では49.2%と半分以下の売上で、まん延防止等重点措置が解除された後も苦しい状況が続いていることが明らかになった。

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営業制限解除などにより全体は前年比113.3%まで上昇も、業態別に明暗あり

コロナ禍3年目となった2022年は、3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、全国を対象とした飲食店の営業制限は行われず、経済活動の再起を目指した一年間となった。また、原材料費の高騰によって多くの飲食店で価格改定が行われたこともあり、全体の客単価が上昇、外食産業全体での売上は前年比113.3%とプラスに転じた。

ただし、2019年と比較すると全体の売上は94.2%にとどまっており、回復基調ではあるものの、コロナ禍以前の水準までは回復していない。さらに業態別で見ると、売上がアップしているのは「ファストフード(108.6%)」のみで、「ファミリーレストラン(83.8%)」、「ディナーレストラン(76.6%)」、「喫茶(80.0%)」、「パブレストラン/居酒屋(49.2%)」などの業態ではコロナ禍以降苦戦が続いているとみられる(いずれも2019年売上比)。

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コロナ禍3年目もデリバリー需要は健在。夜間の外食需要いまだ振るわず

コロナ禍3年目でもなお好調なのは、テイクアウト・デリバリーに強みを持つ業態で、なかでもハンバーガーやピザなどの洋風ファストフードが好調な売上を維持している。キャッシュレス化や注文方法の多様化によって、利便性が向上したことも一因だろう。

一方でディナーやお酒の提供を中心とする業態では、今なお苦しい状態が続く。企業の歓送迎会や忘年会など、大人数での宴会を控える傾向がいまだ高く、夜間の外食需要は低迷している。

コスト増や人手不足など課題。コロナ5類移行後の消費者意識の変化に期待

2022年の売上や来客数は前年比で上昇したが、これは3月にまん延防止等重点措置が解除され、営業制限がなくなったことによる伸び幅に過ぎない。特に店舗数は全体的に微減傾向にあり、なかでも「パブレストラン/居酒屋」は他業態よりも減少幅が大きく、前年比94.7%となった。

まだまだコロナ禍の影響が拭い切れないなか、原材料費の値上げによる仕入れコストの増加や、深刻な人手不足などが加わり、外食業界の課題は山積している。先日、新型コロナの感染症法上の位置づけを5類に移行する方針が決まったばかりだが、これが今後の飲食店の営業や外食需要にどう影響してくるのか注目される。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。