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飲食店の平均給与が上昇傾向。背景に深刻な人手不足と最低賃金の大幅アップ

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新型コロナの5類引き下げやインバウンドの本格化など、ポストコロナの時流を受けて、いよいよ飲食店の景気が回復の兆しをみせている。同時に、従業員の人手不足という課題も顕在化してきた。

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飲食業界の人手不足が深刻化。『すし銚子丸』はGW中の店内飲食を中止

東京商工リサーチが4月3日〜11日に実施した「人手不足」に関するアンケート調査では、66.5%の企業が正社員不足と回答している。今年2月の全国の有効求人倍率は1.35倍で、前年同月(1.21倍)と比べ0.13ポイント上回る結果になった。なかでも飲食サービスの場合、2月の新規求人が前年同月から10ポイント以上上回り、深刻な人手不足と人材獲得難が見て取れる。

こうしたなか、関東圏に展開する回転寿司チェーン『すし銚子丸』では、人手不足のためゴールデンウィーク期間の店内飲食を一部店舗で取りやめると発表した。定番のお持ち帰りメニューの一部も休止し、ゴールデンウィーク特別商品と一部のお好み寿司の販売に専念するという。

とはいえ、例年5月の連休明けには、求人応募数が増える傾向にある。特にマスク着用のルールが緩和され、コロナの閉塞感から脱出した今年は、新生活に慣れ始めた学生や主婦層を中心に応募が増加する可能性もある。そこで以降では、飲食業界における最新の平均給与データをご紹介。アルバイト募集時の参考にしてほしい。

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東京・大阪・愛知・福岡の飲食店、上期比で時給・月給ともにプラスへ

以下は、弊社が運営する「求人飲食店ドットコム」に登録された、2022年度下期における募集時の平均給与データだ。

■調査概要
調査対象:「求人飲食店ドットコム」掲載の、東京都・大阪府・愛知県・福岡県における求人案件(57,703件)
※データ数が500件以下の場合は除外
調査期間:2022年10月〜2023年3月(2022年度下期)
給与算出方法:求人募集時の給与下限額より算出。少数点以下は四捨五入。
調査結果:【2022年下期飲食店動向】飲食店の平均給与(業態・業種別)

■ 東京都
平均時給:1,213円(前半期比+29円、102%)
平均月給:279,564円(前半期比+7,493円、103%)

■ 大阪府
平均時給:1,107円(前半期比+27円、102%)
平均月給:267,853円(前半期比+4,105円、102%)

■ 愛知県
平均時給:1,044円(前半期比+6円、101%)
平均月給:256,454円(前半期比+470円、100%)

■ 福岡県
平均時給:994円(前半期比+17円、102%)
平均月給:249,908円(前半期比+12,289円、105%)

シンクロ・フードのプレスリリース(4月27日付)より

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いずれの地域でも2022年度上期に比べ、時給・月給ともに上昇している。2022年度上期ではコロナ禍の影響が落ち着き、求人倍率が高まったことで平均給与の上昇が見られたが、下期では最低賃金の大幅な引き上げや、人手不足の問題が顕著に表れた結果となった。

4月には中国人観光客の入国規制も緩和され、インバウンド需要が徐々に回復。飲食業界のさらなる景気好調が見込まれる。同時に人手不足はより深刻なものになるだろう。「ここで働きたい」と思ってもらえる環境づくりとともに、必要に応じた給与の見直しも検討したい。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。