飲食店により求められる「インバウンド対応」。訪日外国人が急増中!
日本政府観光局が4月19日に発表した訪日外客統計によると、3月の訪日外客数推計値は181万7,500人。コロナ禍前である2019年同月比の65.8%まで回復した。訪日外国人の増加に伴い、飲食店には「インバウンド対応」がこれまでよりも求められることが予測される。
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アメリカ・オーストラリア・中東地域からの訪日がコロナ前水準を上回る
3月の訪日外客数推計値は181万7,500人で、2月に比べ34万人増加した。これは2022年10月の新規入国制限の緩和以降で最高の数値だ。桜シーズンの到来やクルーズ船の運航再開により需要が高まったとみられている。
また、3月の訪日数を国別に見ると1位は韓国(46万6,800人)で、2位以下は台湾(27万8,900人)、アメリカ(20万3,000人)、香港(14万4,900人)、タイ(10万8,000人)と続く。伸び率ではアメリカやシンガポール、ベトナムが高くなっており、訪日数全体を押し上げている。2019年の同月比で見ると、アメリカ(115%)、オーストラリア(102.3%)、中東地域(104.9%)でコロナ禍以前を上回る結果となった。
訪日外国人に対応する新サービスも登場
インバウンド需要の増加を受けて、さまざまな取り組みも行われている。
訪日外国人向けグルメサイト「SAVOR JAPAN(セイバージャパン)」は、4月から飲食店の予約管理システム「テーブルチェック」との連携を開始した。テーブルチェックが提供する予約ページは18言語に対応しており、リアルタイムで空席状況が把握できる即時予約が可能。訪日外国人にとっては嬉しい連携となった。
また、口コミグルメサイトを運営するRettyは、台湾の大手旅行代理店・五福旅行社と共同で訪日台湾人向けの新サービスを開始した。同旅行社で航空券・宿泊施設を予約した台湾人に、Rettyで掲載されている人気店や予約可能店舗の情報をまとめたメールの発信を行うもの。旅行を計画している段階で情報を提供することで、飲食店側がインバウンド需要を獲得しやすくするのが同サービスの狙いだ。
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東京都では補助金でインバウンド対策を支援
飲食店に外国人観光客の受け入れ体制の強化や、ニーズに対応したサービスの向上が求められる中、東京都及び東京観光財団が「インバウンド対応力強化支援補助金」事業を開始した。
「インバウンド対応力強化支援補助金」は、都内の飲食店(中小企業者のみ)がインバウンド対応力強化のために新たに実施する事業に補助を行うもの。補助額は対象経費の2分の1以内で、1店舗あたりの上限は300万円となっている。
【補助対象の一例】
・多言語対応
・公衆無線LANの設置
・クレジットカードや電子マネー等の決済機器の導入
・外国人旅行者の受入対応、アクセシブル・ツーリズムに係る人材育成
・外国人用グルメサイトへの掲載に要する費用 など
募集は令和6年3月31日までだが、補助金申請額が予算額に達した時点で受付は終了する。
ますます高まっていくインバウンド需要に対し、さまざまな支援制度やサービスが今後も出てくるだろう。自店で利用できるサービスや支援制度をこまめにチェックし、インバウンド対応を進めていきたい。