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宮迫博之『牛宮城』でレバーをよく焼かず食中毒か? 生肉“サッと焼き”の危険性

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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お笑い芸人の宮迫博之氏がプロデュースする焼肉店『牛宮城』で、レバーを原因とした食中毒疑惑が浮上。同店で食事をしたユーチューバーが体調不良を訴え、ネット上でちょっとした騒動になっている。一体、何が起きたのか?

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ユーチューバーが食中毒に。レバーをよく焼かずに食べたことが原因か?

元「雨上がり決死隊」の宮迫博之氏がプロデュースする焼肉店『牛宮城』において、4人のユーチューバーが食事をした後、うち2人が体調不良を訴えた。病院で診察したところ、食中毒が判明したと報じられている。

この事実について、食中毒を起こした2人と同席していた別のユーチューバーは、自らの配信の中で、食中毒の原因として『牛宮城』のレバーをよく焼かずに食べたことなどが考えられるとした。当日の模様を映した動画の中では、レバーを提供した店員が「こちらサッと焼きがおすすめでございます」と説明。これを受け、ユーチューバーはレバーをよく焼かないまま口にしてしまったという。また、生肉を扱うトングで各人の皿へ肉を取り分けたことも、食中毒の原因として考えられるのではないかと配信で語られていた。

この件についてYouTubeのコメント欄には、店員の発言やユーチューバーの行動についてさまざまな意見が寄せられた。十分に加熱せずに食べることを店員がおすすめしていることが問題だとする意見がある一方で、ユーチューバーの間違ったトングの扱い方について指摘する意見もある。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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牛レバーの生食は食品衛生法で禁止されている

今回の原因とされるレバーなどの生肉については、食品衛生法で取り扱いが厳しく規制されている。2011年に発生した飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌による食中毒で、5名が死亡し重症者も多数出たことを受け、2012年7月に食品衛生法が改正。生食用食肉としてユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキなどを販売する際には、生食用食肉を扱うための設備をほかの設備と明確に区分し、衛生的な専用の器具を使用すること、認定生食用食肉取扱者によって加工・調理することなどが定められた。

また、牛レバーについては、内部から腸管出血性大腸菌が検出され、生で食べるための有効な予防策がないこともあり、生食用として販売・提供することは禁止されている。

そのため、焼肉店などの飲食店で客が牛レバーを調理して食べる場合は、飲食店側は中心部まで十分に加熱して食べるように情報提供(メニューへの記載や、店内での掲示など)をしなければならない。また、客が生で食べているのを発見した場合にも、飲食店側から注意喚起しなければならないとされている。

その観点から考えると、『牛宮城』の店員が十分に加熱しない「サッと焼き」をおすすめしている点は食品衛生法上問題があるといえるだろう。

食中毒の危険性を理解して十分な注意喚起を

ただし、食品衛生法では牛レバーを生食用として提供することを禁じているが、飲食店側が加熱用として提供した牛レバーを客が自ら生で食べることは禁じていない。食中毒が発生した際、飲食店側に問題があれば立ち入り調査が行われて罰せられるが、違法と知りながら生で食べた客側は罰せられないのだ。

しかし、違法だと知りながら生レバーを提供している店や、加熱用として提供しつつも「暗黙の了解」として生食を示唆する店も未だに存在している。腸管出血性大腸菌による食中毒では死亡する例もあることから、飲食店側は十分に注意喚起し、生食を示唆するような提供をしてはならないということを理解しておくべきだろう。

飲食店が食中毒を起こした場合、営業停止命令や営業禁止処分を受けることになる。今の時代はSNSなどで悪評が拡散され、経営を続けられなくなることも考えられる。気温が高くなってくると、生レバーに限らず食中毒の危険性は高まってくるため、飲食店は十分な注意が必要だろう。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com