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住宅街で坪月商25万円を売る『nope』。気鋭のシェフが勝負の地に「千歳烏山」を選んだ理由

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『nope』シェフの高木祐輔氏

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昨今、都心の高級レストランで経験を積んだ料理人が、あえて都心からはずれた地やカジュアルな業態を選ぶケースが増えている。2023年7月に千歳烏山でオープンした中国料理の店『nope』の高木祐輔氏もその一人。店を立ち上げた経緯やコンセプトについてうかがった。

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庶民的な店が多いエリアだからこそのニーズをキャッチ

調理師学校卒業後、ザ・ペニンシュラ東京の広東料理の店『ヘイフンテラス』で7年修業した高木祐輔氏。在職中の2019年には若手料理人の登竜門であるコンペティション「RED-U35」でGOLD EGGを受賞した実力派だ。退職後の2020年からは知人に誘われて、カレーやスパイス料理をコースで供する祐天寺の人気店『レカマヤジフ』のシェフに就任。2023年に退職し、7月に開業した『nope』のシェフとなった。

¥天井はむき出しにし、グレーを基調にした内装。中国料理店らしくないスタイリッシュな雰囲気にし¥

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都心の高級ホテルで腕を磨き華々しい経歴を持つ高木氏が構えたのは、“中華×スパイス×ワイン”をコンセプトに、ワインと一緒に料理が楽しめるカジュアルな店。場所は新宿から電車で12分、閑静な住宅街で庶民的な商店街が広がる千歳烏山にあるビルの2階だ。

「これまでの集大成として高級なレストランをやりたいという気持ちはもちろんあります。ただ、小さな子どもが二人いる現在は家族との時間も大切ですし、こだわった店づくりをするには資金も必要。今はまだその時ではないと思いました。また、この辺りは私の地元の近くでなじみがあり、昔ながらの町中華のようにローカルな飲食店が多い一方で、おしゃれな店が少なく、イノベーティブな料理のニーズがあるはずだと感じていました」

コースだと敷居が高くなるのでメニューはア・ラ・カルトで構成。アルコールをメインに楽しむ人や2軒目利用など、さまざまな客層をキャッチできるようにしている。また、ワンオペで営業することを前提にカウンター8席、テーブル2席と目が届きやすいキャパシティにした。ちなみに、店名は英語の“No”のスラング。日本語に訳すと「やばい」といった表現になることから、転じて「やばい」のポジティブな意味を込めた。

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。