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飲食店で働くプロに捧ぐ映画10選。技術、サービスも学べる珠玉の作品たち

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映画『エル・ブリの秘密』の舞台にもなる『エル・ブリ』のキッチン。Photo by Charles Haynes「Kitchen」

“食”の映画はアカデミー賞にも数々とノミネート

レオナルド・ディカプリオのオスカー初受賞が話題になった今回のアカデミー賞。今年で第88回を迎えた歴史ある映画賞だが、過去には“食”にまつわる作品も多数ノミネートされていることをご存知だろうか。

デンマークの小さな村を舞台に、フランスから亡命してきた元シェフと老姉妹との人間ドラマを描いた『バベットの晩餐会』、フランス料理のシェフになることを夢見るねずみの物語『レミーのおいしいレストラン』、アメリカの食品産業の実態に迫るドキュメンタリー『フード・インク』などさまざまな作品が話題になってきた。

これらの作品は一般の鑑賞者が楽しめるのはもちろん、食の仕事に携わる人にとっては“学び”を得られる教科書にもなるだろう。そこで今回は、飲食店で働くプロが見ておきたい映画を、定番から最新作まで10本ご紹介する。

料理の盛り付けのヒントにもなる、センスあふれる2本

『かもめ食堂』
ヘルシンキに住む日本人女性が始めた食堂を舞台に、そこに集う人々の心の交流を清々しいタッチで描いた作品。焼き鮭やとんかつ、しょうが焼きなどの定食メニューが、北欧のシンプルな器と見事にマッチ。盛り付けをはじめ、インテリアや調理器具、食器に至るまで、参考になる要素がふんだんに盛り込まれている。小林聡美や片桐はいりといった味のある俳優陣が演じているのも興味深い。

『チャーリーとチョコレート工場』
ロアルド・ダールの児童文学『チョコレート工場の秘密』を原作としたファンタジー。ジョニー・デップが主演したことで話題になったのでご存知の方も多いのでは?
世界中の子供達に大人気のウィリー・ウォンカのお菓子。その製造工場へのプラチナチケットを手に入れた子供達が、奇想天外な仕掛けが施されたお菓子の工場を冒険する物語だ。とにかくカラフルで独創的なチョコレート工場は、大人が観ていてもハッピーな気持ちになれる。工場内の一部は実際のパティシエによって制作された本物のチョコレートだそう。

生産者の想いを知ことができる3本

『モンドヴィーノ』
ワインソムリエの資格を持つジョナサン・ノシター監督が様々なワイナリーを訪ね、ワイン業界の理想と現実のギャップを浮き彫りにしたドキュメンタリー。本作では多くの生産者や企業の生の声を取材し、醸造家たちのワイン哲学やグローバル化による問題点など、ワイン業界の様々な側面を知ることができる。ソムリエ必見の一本。

『A FILM ABOUT COFFEE』
こちらはコーヒーのドキュメンタリー。近年、新たなムーブメントとなりつつあるコーヒーカルチャーのいまに迫る一作。ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、日本の5都市のコーヒー店オーナーを取材し、彼らのコーヒーへの思いや哲学に迫っている。

『一献の系譜』
日本酒の作り手である杜氏の仕事を2年間にわたり撮影したドキュメンタリー作品。登場するのは日本四大杜氏のひとつ、能登杜氏。能登の自然の中で育まれる繊細な手仕事を捉えた貴重な映像作品に仕上がっている。

個人店の店主に観てほしい2本

『タンポポ』
伊丹十三監督によるコメディ映画。未亡人が営む売れないラーメン屋を、トラック運転手がプロデュースし「行列のできるラーメン屋」に立て直す物語。ラーメンを軸に据えてはいるが、食にまつわる様々なエピソードが随所に盛り込まれており、日本の食文化全体に対する問いかけや、企業家精神といった普遍的な側面についても考えさせられる一本。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
上で紹介した『タンポポ』に影響を受けたジョン・ファブローが制作・監督・脚本・主演を務めた映画がこちら。主人公は一流レストランの総料理長を務めていたが、オーナーと衝突して店を辞めてしまう。そしてマイアミで出会った美味しいキューバサンドイッチがきっかけとなり、元妻や息子とフードトラックで移動販売をしながらアメリカ横断をする。日々の業務が忙しく、現実的なしがらみにとらわれがちな時には、ぜひこの一本で原点回帰を。

職人魂に触れる2本

『二郎は鮨の夢を見る』
85歳の寿司職人『すきやばし次郎』の店主、小野二郎を追ったドキュメンタリー。寿司職人としての道を極めるべく日々精進する飽くなき探究心と、その父を追う息子の奮闘を描いている。アメリカ人監督の視点で捉えられた日本の伝統も興味深いところ。

『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』
スペインの三ツ星レストラン『エル・ブリ』の知られざる厨房に密着したドキュメンタリー。45席しかない店に年間200万件もの予約が殺到する、まさに世界一予約の取れないレストラン『エル・ブリ』。この店を率い、常に革新的な一皿で世界中の食通の舌を虜にしたオーナーシェフのフェラン・アドリアが、どのようにアイデアを生み出しているのか、そのプロセスをすべて公開している。妥協なき料理人魂を感じる作品。

飲食業に関わる全ての人に観て欲しい1本

『いのちの食べかた』
食べ物の大量生産と管理の現場を描いたドキュメンタリー。ナレーションやBGMは一切なく、生産の現場とそこで働く人々を淡々と捉えている。紹介される生産現場は、野菜や果物のほか鮮魚や肉類も。普段当たり前のように口に運んでいる食べ物が、食卓に届くまでにどのような行程を経ているのか、私たちは知っているようで意外に知らないものだ。飲食業に携わる全ての人に観てほしい1本。

いかがだろうか。食べ物や、飲食店を舞台とした映画はじつはとても多い。参考になるヒントが隠されている映画もたくさんあるので、気になる作品があったら、ぜひこの機会にチェックしてほしい。

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イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。