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食品ロス削減推進法が成立。飲食店は30年度までに「食品ロス2割削減」が求められる

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画像素材:PIXTA

5月24日、食品ロス削減推進法が参議院本会議において全会一致で可決され、成立。たびたび話題になっている「食品ロス問題」だが、ようやく法的に取り組みが始まった。

■食品ロスとは?
売れ残りや期限切れ、食べ残しなど、本来食べることができたにもかかわらず廃棄される食品のこと。農林水産省の調査によると、2016年度に国内で廃棄された食品は、約2,759万トン。このうちまだ食べられたものは約643万トンだった。

■食品ロス削減法の概要
正式名称は「食品ロスの削減の推進に関する法律案」。食品ロスの削減を国民運動と位置づけ、政府が食品ロスの削減基本方針を策定すると明示。自治体には具体的な推進計画をつくる努力義務を課した。また、事業者に施策への協力を求めたほか、消費者にも食品の買い方を工夫することなど、自主的に取り組むよう促している。

■外食業界の基本方針は?
2016年度、飲食店や食品メーカー、コンビニなどの事業者から生まれた食品ロスは352万トン。中央環境審議会の専門部会は、2030年度までに2割超削減の273万トンに抑える基本方針をまとめた。

基本方針は食品リサイクル法に基づいて策定。政府はこれを踏まえた上で、「居酒屋」「ファストフード店」「弁当製造業者」など、業種ごとの目標値を設定し、製造から販売までの取り組みの強化を求めるとしている。

画像素材:PIXTA

大手各社の取り組み

大手の飲食企業では、食品ロス削減のための取り組みをはじめている。

■すかいらーくホールディングス
ファミリーレストラン『ガスト』『ジョナサン』などを展開する、すかいらーくホールディングスは、以前からご飯の量を選べるようにすることで、食べ残しが出ない工夫をしている。また、店内で食べきれなかった分を持ち帰りできる容器も用意している。

■マクドナルド
『マクドナルド』では、注文が入ってからハンバーガーをつくる「メイド・フォー・ユー」システムを導入。厨房の調理体制を一新することで、1オーダー約50秒でハンバーガーをつくれるようになった。また、これにより食品廃棄は57.6%も削減された。

■カルビー
スナック菓子メーカーのカルビーでは、袋入りのポテトチップス約100種類の賞味期限を4か月から6か月に延長すると発表。油の配合改善や製造工程の見直しによって実現したという。円筒状の容器に入った「ポテトチップスクリスプ」の賞味期限は12か月から13か月に延長される。

このほか、コンビニ各社も動き出している。セブンイレブンとローソンでは、消費期限が近づいた食品の購入者にポイントを提供する還元策を導入。ファミリーマートでは、おせちや恵方巻きなどの季節商品を完全予約制にすることを決めた。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

今、飲食店ができること

食品ロス削減推進法では、まだ具体的なルールや罰則は定められていないが、飲食店が現段階でできることはたくさんある。

・食材を発注しすぎない
・つくり置きをしない
・食べきれない分の持ち帰りを可能にする

上記のように、大手がすでに実践しているものであれば、取り組みやすいのではないだろうか。食品ロス削減推進法は、超党派の議員立法で公布後、6か月以内に施行される。食品ロスを減らすには、1人ひとりの意識が重要だ。ぜひ、できることからはじめてほしい。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。