都立家政『ニコミマル』、あえて月商200万円に。逆境で光るポジティブ力!【連載:居酒屋の輪】
繁盛している居酒屋はどこかで必ずつながっている。名店誕生までのストーリーを探りつつ、また別の新しい名店を紹介してもらう連載企画。前回登場『あかんぼ』の武居佑真さんが憧れていると話していたのが「普通マイナスに捉えそうなものも、全部ポジティブに考えるスゴい人」。その超プラス思考な人物に会うため、都立家政という聞き馴染みのない駅に降り立った。
「お店を開く前から5年ほど近所で暮らしていますが、都立家政という駅が最寄りだなんて全く知りませんでした(笑)。駅前も正直に言えば寂れていて……でも、それが良かったんです。とにかく自宅近くに店舗を探そうと考え、不動産屋さんに聞いて、その日のうちに出てきたのがこの物件でした」と話すのは黒川圭太さん。渋谷の繁盛店『▢二〇(カクニマル)』の代表であり、今回訪れた『二五三◯(ニコミマル)』が2店舗目となる居酒屋出店だ。
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画像を見る条件が悪いからこそお客さんの心を掴む攻めの戦略が大切
あえて居酒屋とは分かりにくいファサードにしながら「美味しくて楽しければ、また来てくれる」と、お客さんの心を掴む戦略で立地条件の悪さを克服した『カクニマル』。コロナ禍の逆境であっても売上をキープしており、そのリピーター獲得のカギは飲食店ドットコム ジャーナル(旧「Foodist Media」)でも紹介した。掲載時に450~500万円台だった月商は1,000万円近くまで右肩上がりで伸び続け、現在も900万円台で推移しているという。13坪32席、坪月商70万円超えの繁盛店だ。
画像を見る「スタッフが鼻高々に売上を報告してきて、嬉しい反面、なぜか悔しかったんです。『商売を舐めるなよ』と言いたくて(笑)。経営は一筋縄ではいかないもの、それを伝えるためにもっと苦戦しそうな場所で居酒屋を作ろうと考えました」と冗談めかして話す黒川さん。その言葉の裏には、楽コーポレーションを率いる宇野隆史社長からの教えが息づいていた。