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「食べずに帰るのは控えて!」と悲痛な声。インスタ撮影だけして料理を残す客に困惑

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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日本橋の老舗喫茶店『COFFEE LOTUS(珈琲ロータス)』が、料理を注文したにも関わらず、撮影するだけで食べずに帰ったお客がいたことに対し、X(旧Twitter)で「ご注文後にお食事の写真撮影をされた後、食べずにお帰りになるのは、控えてください」とツイート。本記事では、同店が発信した内容とそれに対するXでの声、飲食店の対策について紹介する。

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「インスタ映え」目的の食べ残し問題

東京・日本橋で1966年から営業している『COFFEE LOTUS』が、「お客様にお願い」とした上で上記のメッセージをツイートしたのは8月4日のこと。詳しい状況については言及されていないが、メディアでも取り上げられるなど反響を呼んでいる。実際には、マスクメロン、リンゴ、キウイ、ブドウなど季節のフルーツが入ったフルーツポンチを注文したお客が、フルーツポンチの写真を撮っただけで食べずに帰ったという。

同店のスタッフは、撮影目的で注文し、料理には手を付けないといった行為は控えてほしいということに加え、「メニューには出来る限り内容を明記しております。事前に苦手な食材をお知らせいただければ、可能な限り対応いたします」とも発信している。

これに対し、Xでは共感するポストが多い。

「食べずに写真を撮って帰るのは本当に食べ物に対して失礼でお行儀が悪いです」
「撮影して残すの許せない」
「SNSなどに画像や動画などをアップして評価されたいだけなんだろうな。お金を払えば何してもいいと考える心の貧しさを感じる」
「食べられない物を頼んで撮影し、バズって何が楽しいのか意味が分からない」

実際にこのお客がSNSで写真を公開したかどうかはわからないが、同店に限らず、「インスタ映え」する写真だけを求めて、料理にはほとんど手をつけずに帰るお客の行為については、SNSを中心にこれまでも何度か注目されてきた。

たとえば2019年には、人数分以上の料理を注文して撮影、大半を残して帰ったお客に対して、大阪府のジビエ料理店がSNSで苦言をツイート。「今後(該当客の)ご入店はお断り致します」とつぶやき、反響を呼んだ。また、大盛りのかつ丼が名物だった兵庫県の食堂でも、同様の行為が相次いだことで該当のメニューが取りやめられる事態になるなど、もはや「インスタ映え目的の食べ残し」は業界全体の大きな問題になりつつある。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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撮影だけして食べ残すお客に、飲食店ができる対策は?

残された料理は廃棄するしかない。飲食店側の対策として、そのようなお客は出入り禁止にする、撮影自体を禁止するといった方法もあるが、実際に残されるまでは判断が難しいところだろう。ある程度はお客のモラルに委ねるしかないが、過度な食べ残しに対しては、一定のペナルティを設けることも検討したい。

SNSでの反響を見る限り、「料金を支払ったのだから残しても問題ないだろう」と考えるお客はかなりの少数派だと考えられる。しかし一部ではあるが、そうしたお客がいることも事実。せめてこうしたツイートをきっかけに、モラルやマナーが醸成されることを願うばかりだ。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com