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5類移行後、約6割の飲食店にインバウンド客が来店。一方、ヴィーガン対応など進まず

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画像素材:PIXTA

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インバウンド顧客向けのメニュー対応、実施している店舗はごく少数

続いて、インバウンド対応策の実施状況についての質問には、「WiFiの導入」が50.8%、「モバイル決済・クレカ対応範囲の拡大(銀聯やアリペイ、WeChatPayなど)」が43.2%という回答となった。

ただし、集客や外国語対応、メニュー開発などに関しては、1割〜2割程度が実施を検討しているが、「実施している」と回答した店舗は「インバウンド顧客向けのコース設定・メニュー開発」が4.9%、「ベジタリアン・ヴィーガン等への対応」が9.2%と少ない。また、「未実施で今後も実施予定はない」という回答は77.0%にも上った。

飲食店リサーチ「貴店におけるインバウンドの状況についてのアンケート」Q10より

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なお、インバウンド対策を「実施している」もしくは「検討している」と回答した方に、最もインバウンド対策につながると思う施策について聞いたところ、「インバウンド顧客向けの観光情報媒体掲載」が27.3%、「インバウンド顧客向けのSNS発信」が20.2%、「多言語・写真付きメニュー(テーブルオーダー端末含む)の導入」が18.9%となった。

飲食店リサーチ「貴店におけるインバウンドの状況についてのアンケート」Q11より

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上位3つの回答について、選んだ理由は下記のとおり。

▼「インバウンド顧客向けの観光情報媒体掲載」を選んだ理由
・最近のSNS広告は信用できない情報も増えてきたので、観光情報媒体、ポータルサイトの方がよいと思う(埼玉県/その他/3~5店舗)
・外国人に流行っている店は、海外の観光用メディアに載ったからというケースをいくつも耳にしている(東京都/バー/1店舗)
・過去働いていたお店はインバウンド向け飲食雑誌に掲載しており、そこからの予約が週1以上あったから(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

▼「インバウンド顧客向けのSNS発信」を選んだ理由
・自分が海外に行った時、SNSでお店を探したりするから(東京都/イタリア料理/1店舗)
・口コミの起点を作ることが重要。翻訳アプリもあるし、外国語表記に彼らはこだわらない(東京都/バー/1店舗)
・海外の方が以前来た時、SNSの写真で来店を決めたと仰っていたので(神奈川県/バー/1店舗)

▼「多言語・写真付きメニュー(テーブルオーダー端末含む)の導入」を選んだ理由
・外国語が話せないので、メニューが外国語になるのが一番良いと思う(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・日本語だけのメニューだと何を注文したらよいのかわからないから。写真付きだと誰にでもわかりやすい(大阪府/アジア料理/2店舗)
・商品説明がスムーズにいくことで、サービスに対して好印象を抱かれやすい。結果、口コミ評価・SNSアップにつながるのでは(広島県/カフェ/6~10店舗)

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インバウンド顧客獲得に積極的でない店舗も多い

最後に、インバウンド顧客が「来店していない(わからない)」と回答した方に、インバウンド顧客を積極的に獲得したいか尋ねたところ、「特にインバウンド顧客を意識していない(国内顧客と同様に考えている)」が60.5%と最多となった。また、「できれば、インバウンド顧客は避けたい」という回答も32.2%となり、積極的に獲得したいという意見は7.2%とかなり低かった。

飲食店リサーチ「貴店におけるインバウンドの状況についてのアンケート」Q13より

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その具体的な理由としては、下記のとおりだ。

▼「特にインバウンド顧客を意識していない」を選んだ理由
・立地的にも多数のインバウンド顧客を獲得できるとは考えていない(埼玉県/カフェ/1店舗)
・東京は飲食店が多いので、あえてインバウンドのアピール競争に力を注ぐよりも、自然に少しずつ広まる程度で常連客の融合と満足度を高めたい(東京都/中華/2店舗)
・特にお客様をインバウンドとかそうでないとか区別して対応する気はない(埼玉県/専門料理/2店舗)

▼「できれば、インバウンド顧客は避けたい」を選んだ理由
・滞在時間の長さから回転率の低下を懸念(大阪府/ラーメン/3~5店舗)
・常連客を大切にしたいから。海外の客はリピーターにならない(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
・外国語が話せるスタッフもいないため(東京都/その他/2店舗)

今回のアンケートからは、インバウンド顧客が来店する店舗は多い一方で、その対応に苦労している店舗も多いことがわかる。また、エリアや業態によっては、インバウンド顧客獲得に積極的でない店舗も多い。しかし、多くの店舗では、インバウンド対応を行うことで、売上アップにつながることもあるだろう。インバウンド対策につながる施策などを参考に、対策を進めていってほしい。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com