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消費税の納付期限は4月1日。飲食店がインボイス制度で課税事業者になった場合のポイント

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2023年10月からインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されたことにより、適格請求書発行事業者も消費税及び地方消費税の申告と納付が必要になる。

個人事業主が対応すべき令和5(2023年)分の消費税の申告・納期限は2024年4月1日(月)(※所得税・贈与税の申告・納付は3月15日まで)となっているが、まだ対応していない人もいるのではないだろうか。今回は、適格請求書発行事業者となった個人事業主の消費税の確定申告・納付について解説する。

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消費税の確定申告・納付とは?

インボイス制度が開始され、適格請求書発行事業者となった場合は消費税及び地方消費税の確定申告と納付が必要になった。法人の消費税課税期間は事業年度で、申告・納期限は事業年度が終了した日の翌日から2ヵ月以内となっているが、個人事業主の消費税申告・納期限は2024年4月1日(月)となっている。

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遅延すれば延滞税、無申告だと無申告加算税が科される

納期限が迫ってきているが、納期限までに納付できない場合は、納期限の翌日から完納の日までの延滞税を納付しなければならない。また、消費税の確定申告の対象者であるにも関わらず確定申告・納付をせず、税務署の調査が入った場合は、無申告加算税が科されるので注意したい。

消費税の確定申告・納付が必要なのは、消費税の課税事業者だ。個人事業主は、基準期間(前々年)または特定期間(前年の1月〜6月)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に課税事業者となるが、インボイス制度によって適格請求書発行事業者となった場合も課税事業者となる。適格請求書発行事業者はもちろんのこと、そうでない場合も基準期間・特定期間の課税売上高を確認し、課税事業者でまだ確定申告・納付をしていない場合は早めに対応した方がいいだろう。

インボイス制度によって課税事業者となった場合の消費税額の計算方法

消費税額の計算方法は、売上にかかった消費税から仕入れ等に関わる消費税を控除して求める本則課税が基本だが、適格請求書等を確認して詳細に計算しなければならず手間がかかる。そこで、売上にかかる消費税に業種ごとのみなし仕入率(飲食店業は50%)をかけた額を引いて求める簡易課税と、インボイス制度開始によって課税事業者となった事業者が利用できる2割特例という方法もある。なお、簡易課税を行う場合は、課税期間内に消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要になるため、2023年中に提出していなければ、今回の確定申告では間に合わない。

2割特例は、詳細な計算をする必要はなく、売上にかかる消費税の2割を納付すればよいという計算方法。年間の売上が880万円でそのうち消費税が80万円だった場合、消費税の納税額は80万円の2割で16万円となる。事前に届け出などは必要ないため、まだ対応しておらず本則課税で対応するだけの時間もないという場合は、2割特例で対応すれば本則課税よりも手間はかからない。

ただし、赤字の場合や、仕入れにかかる消費税が売上にかかる消費税の8割を超える場合は、本則課税であれば還付が受けられるが、2割特例では還付が受けられない。簡易課税の場合も還付が受けられないため、赤字の場合は本則課税で対応するほうがいいだろう。

消費税の確定申告・納付は、今年から対応するという人も多いだろう。本則課税または簡易課税、2割特例のいずれにしても、確定申告・納期限は2024年4月1日(月)だ。対応が遅れて延滞税等が科されないよう、早めに対応しておきたい。

■国税庁HP

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com