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“鶏焼肉”が連日満席のブーム! 見冨右衛門氏に聞く焼鳥業界のトレンドと攻略法

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『鶏焼き肉 囲』を手がける株式会社はらぺこ CEOの見冨右衛門氏

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前澤友作氏の食のブレーンを務めたことで注目を浴び、現在は東京都港区を中心に飲食ビジネスを展開する株式会社はらぺこのCEO・見冨右衛門氏。そんな見冨右衛門氏が六本木に鶏肉を焼肉スタイルで味わう『鶏焼き肉 囲』を2023年10月にオープンさせた。

『鶏焼き肉 囲』は、南麻布の予約困難店『鳥匠いし井ひな』に続き、大阪の名店『鳥匠いし井』の石井吉智氏と見冨右衛門氏が再びタッグを組んだ鶏専門の焼肉店だ。同店はオープンして半年足らずで、連日満席の人気店となっている。

今回は全国各地、数多くの飲食店を訪れ、料理人の知り合いも多いという見冨右衛門氏に、焼鳥業界の現在の動向やトレンド、課題、それをどのように新店で実現しようとしているのか伺った。

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九州などで親しまれていた“鶏焼肉”が注目を浴び、人気の焼鳥店や焼肉店も新規参入

鶏料理といえば、焼鳥が一般的な東京だが「九州や三重県松阪市などには、古くから“鶏焼肉”の文化がありました」と見冨右衛門氏。

「宮崎には鶏の炭火焼きの文化がありますし、鹿児島などの南九州では鳥刺しの文化もあるくらい、鶏料理が人々に根付いています。三重県松阪市といえば松阪牛で有名ですが、この地に暮らす人にとって牛肉は商売のためのお肉であり、日々の暮らしで食べるのは鶏肉。その結果、鶏焼肉の文化が生まれたと現地の方から伺いました」

そんな背景がある中で2022年、2023年ごろからフーディーの方々に鶏焼肉が注目されるようになったという。きっかけは熊本県山鹿市の『ろばたやき山ろく』などが食べログ4点台を獲得したこと。これにより鶏焼肉が脚光を浴びるようになり、東京などでも新規出店が相次いでいるという。

「鶏焼肉店の潮流として面白いのが、他業種からセカンドラインとして鶏焼肉のお店を始めるケースが多いこと。例えば焼鳥の名店『鳥しき』が手がける『鳥焼き 小花』や、人気の焼肉店『うし松』が手がける『一鳥目 とり松』など、焼鳥店が参入するケースと、焼肉店が参入するケースがありますね。今、ご紹介した二つのお店は、大衆的な鶏焼肉を料理へ昇華しようとアップデートしていて、鶏料理コースをカウンターで食べたり、テーブルに焼き手の方もつくアッパー層向けのお店です」

一方で、鶏肉は原価が安いというメリットもある。九州の大衆的な鶏焼肉文化をそのまま持ってきたリーズナブルな鶏焼肉のお店もあり、恵比寿の『焼肉鳥gg』や平和島の『鶏焼肉東京 本店』などが挙げられるという。

ターゲットとしてはアッパー層と大衆層の中間を狙う『鶏焼き肉 囲』

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“鶏焼肉店”新規参入の背景には、人手不足など焼鳥業界の課題も影響

そんな鶏焼肉店の相次ぐ出店の背景には、焼鳥業界が抱える課題もあるのではないかと見冨右衛門氏は推測する。

「焼鳥店に限らず今はどこも人手不足ですよね。特に焼鳥は『串打ち』と『焼き』の作業があり、どうしても人員を割かないといけない。そんな人手不足の状況でも、お客さまに安くおいしい料理を提供していくため、我々が考えたのが串打ち作業をなくし、焼き手をお客さまに任せてしまう“鶏焼肉”という業態です。同じように考えた人も多かったのか、近年鶏焼肉のお店が増えたのだと思います」

一方で一部の焼鳥店は、数か月先まで予約が取れず、食べたくても食べられない人がたくさん生まれているという別の課題もある。見冨右衛門氏が関わる『鳥匠いし井ひな』もその一つだ。そんなさまざまな状況を解決すべく、上質な地鶏を、いつでも気軽においしく味わえるお店としてオープンしたのが『鶏焼き肉 囲』だ。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。