川崎の新店『富治』が初月売上1,500万円を達成! チェーンに勝てる和食居酒屋のつくり方
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駅周辺だけじゃない! 川崎の特殊な商圏
菊池氏は大箱店舗でも勝算があったから、『富治』の出店に踏み切った。その理由の一つは、川崎駅東口エリアでの宴会、会食需要が非常に高いからだ。
「川崎には工業地帯があります。僕もこの業界に入る前に、バイトで働いた経験も。川崎駅からバスで30分ぐらいかけて、皆さん通勤しているんですよ。うちはそこも含めて、マーケットなんです。働いて駅に帰ってきた人は、横浜方面、東京方面に帰るとしても、一旦落ち着ける川崎で飲みます。企業の宴会が多いのもそのためです」
生まれも育ちも川崎の菊池氏だからこそ、駅から離れた場所にも商圏があると認識できる。また、『富治』では客の滞在「2時間制」を敷いていない。それも地元を知る同氏ならではのこだわりだ。
「川崎だと、まだローカルビジネスに近いところもあるんですよ。渋谷みたいに新規のお客さまがずっと来るみたいな街ではありません。いつも来てくれる人を大切にしなければいけないし、ゆっくり過ごせなくなる2時間制はあまり良くないと思っています。僕自身、制限時間で追い出されるのは嫌なので」と菊池氏。自ら客として利用した川崎の居酒屋での実体験も、経営の素地とする。
コロナ禍以降、川崎では大型チェーンが減少傾向にあり、「チェーン優位」の構図が崩れつつあることも追い風に。「大手が減り、中小のチェーンが増えてきている印象です。ただ、おそらく自分たちは売上で負けてないと思います。系列全店はおおむね4,000~5,000円が客単価。普段もっと高い店へ行っている人も来てくれるし、3,500円のチェーン店へよく行く人も、『今日は1,000円多く払って行こうかな』と思えるので、集客の可能性が広がる。ミドル価格帯は川崎で一番のボリュームゾーンですし、そこを狙った業態を作るのが得意なんです」と、菊池氏は力説する。
得意な“武器”を身に着けるまでの約10年で、14店舗を開発し、うち5店舗を閉店した株式会社Sunrise。その経験を踏まえて、川崎で勝てる店をつくる秘訣とは?
「東京風を吹かせて、尖り過ぎないことじゃないですか(笑)。最初の方は、やりたい店をどんどん立ち上げました。ビストロやフルーツサンドの店とか尖った店をやったんですけど、上手くいかず……。それで、やっぱりマーケットがある業態でちゃんと戦おうという考えになりました。需要がある業態なら、その中で自分たちは他社に負けない競争力を付ければいいだけなので。それがまさに僕らのミッション、『100年続くブランドをつくる』の理念。これからは和食で戦おうと決めています」
2025年6月末には東京・五反田に、『魚炉魚炉』業態のフランチャイズ店を出店予定。翌月には丸の内・明治安田生命ビルで、直営の『相馬庵』が開店を迎える。
「京浜東北線ラインで出店し、地盤をつくって海外に行こうというビジョンを描いています。和食で川崎から世界へ、です」
『焼鳥と蕎麦 富治TOMIJI』
住所/神奈川県川崎市川崎区砂子2-5-19 川崎東相ビル1階
電話番号/044-280-9333
営業時間/16:00~L.O.22:45
定休日╱不定休
坪・席数/50坪・100席
https://tomiji-kawasaki.com/
