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外食産業を席巻するグローバルダイニング卒業生が集結。「FOODIT TOKYO 2017」で“GD魂”語る

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株式会社プレジャーカンパニー 望月大輔氏

3社長が考える「生産性向上」

続いて話題は企業における生産性の向上の問題に移行した。大林氏はキッチンとホールの両方をこなせるスタッフを育てることを実施している点を強調。ユーティリティープレーヤーが増えることで、業務の体制作りに柔軟性が出せる。また、完全に分けたままだと、両者にわだかまりのようなものができることもあるが、双方を経験したスタッフなら相互理解が可能となるなど人事面でも好影響が出るという考えを披露。

望月氏は生産性という観点から経営を考えた時に、人時売上高(売上高÷総労働時間)を重視していることを明らかにした。キッチン、ホールともに目標は4000円以上。「そこをクリアしないと人件費率30%は絶対にクリアできないので。2週間ベースで出して、営業本部長がチェックして、人時売上高4000円を達成できるようにやっている」と、重要な経営指標となっていることを強調。

吉田氏はITの利用などによる省力化、現場の人間の成長などを挙げた。

株式会社Big Belly 大林芳彰氏

権限の委譲で経営にスピード感、「グローバルダイニングが教えてくれた」

人材の育成という次の話題に入ると、グローバルダイニングの現場で行われていた権限の委譲という考えが今の会社で生きているという点で、興味深い話が続いた。大林氏が「グローバルダイニングに入社した時に、アルバイトが当たり前のようにシフトを作り、人件費の計算をしていた。普通なら店長がやる仕事をバイトがしていた。それを今、ウチでもやっている」。吉田氏は「僕がアルバイトの時、深夜、バイト2人で仕事を任されて、何十万円という売り上げの管理も任されていた。権限委譲した方がむしろ、その人間にとってやりがいにつながるし、それができるとなると新しいルールができる。それによって(経営改革などに)スピードが与えられるということを教えてくれたのが、グローバルダイニング」と話した。

このような大胆な方法が、独立・起業から成長を続ける大事な時期に、経営に一定のスピード感を与えたことは容易に想像がつく。これがグローバルダイニングの卒業生の強みでもあるのだろう。最後に、3人が今後の自身の成功について5年後、あるいはさらにその先をどのように考えているのか問われた。

「今、働いている社員をしっかり独立させ、ちゃんと稼げるようにする。そのために今、新しい業態の店舗を作っている」(大林氏)。
「数字についての目標はあまりない。創業のコンセプトであるアジアンビストロには思い入れがある。それを全国展開できたらいいと思う。また、社内にビジョンで明らかにしているが2021年までに新たに5つのブランドを作る」(望月氏)。
「3つある。1つは離職率ゼロ。2つめは、1件の求人に対して100人が応募してくれる会社になる。最後の1つはCS(顧客満足度)が常に100であること。この3つが5年後に達成できたら大成功」(吉田氏)。

考え方は三者三様。でも根っこの部分にはグローバルダイニングの精神がしっかりと宿っている

3人の卒業生の話から見えてくるグローバルダイニングは、従業員一人一人が責任感を持ち、仕事に対して積極的に取り組み、従業員間でも切磋琢磨して、それによる淘汰も行われるという激しい生存競争の場であったというものだろう。そのし烈な環境で鍛えられた者は、卒業し独立しても生き残っていけるという事実。三者三様の考え方はあるものの、根っこの部分では、グローバルダイニングで学んだ経験や誇りでつながっているように感じられる座談会となった。

【株式会社グローバルダイニング】
本社:東京都港区南青山7-1-5
代表:代表取締役社長 長谷川耕造
設立:1973年10月5日
資本金:14億7430万円
従業員数(連結):254人(2016年12月末現在)
店舗数:50(うち海外2店舗)
主な店舗:カフェ ラ・ポエム(イタリアン)、ゼスト キャンティーナ(テックスメックス)、モンスーンカフェ(エスニック)、権八(創作和食)、LB(グリル)

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/