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1月の外食売上、前年比112%もコロナ前に届かず。居酒屋は19年比33%と苦戦

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画像素材:PIXTA

日本フードサービス協会が、2022年1月の外食産業市場動向調査の結果を発表した。全体売上は2021年1月比で112.2%。一見すると回復したように思えるが、これはあくまで2回目の緊急事態宣言で売上が大きく落ち込んだ2021年1月(前年同月比79.0%)からやや回復したにすぎない。

昨年末に新型コロナ感染者数が減少したことを受け、年始は個人や家族客に回復の兆しが見られたが、新変異種「オミクロン株」の出現で再び感染者が急増した。1月9日以降は各地でまん延防止等重点措置が適用され、特に店内飲食中心のレストラン業態・飲酒業態が失速。全体売上はコロナ禍前の19年比で88.5%となった。また従業員やその家族の感染もあり、店舗の人員確保にも影響が及んでいる。

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ファーストフードは好調を維持。コロナ前を上回る

ファーストフード業態の全体売上は、店外消費の下支えもあり、コロナ禍でも好調を維持。2021年1月比で106.2%、19年1月比でも106.7%となった。「洋風」はテイクアウトやデリバリー、ドライブスルーが変わらず堅調で105.9%(19年比124.1%)。「和風」も新商品が引き続き好調で105.8%(19年比100.0%)だった。

ほかにも「持ち帰り米飯・回転寿司」は「回転寿司」のキャンペーンやデリバリーの拡充などが寄与し、売上は106.9%(19年比99.9%)。「その他」は「カレー」が昨年ほどの落ち込みは見られず、また「アイスクリーム」がテイクアウト販売に工夫するなどで好調を維持し、111.0%(19年比97.2%)となった。

一方、「麺類」は前年の緊急事態宣言下で酒類提供を午後7時までに制限され、売上を大きく下げた「らーめん」などの反動もあり、2021年1月比104.5%となるも、厳しい状況は変わらず、19年比では79.2%だった。

ファミリーレストラン業態の全体売上は、大きく下げた2021年1月(対20年1月比65.4%)からの戻りが鈍く、2021年1月比で120.1%となるも、19年比では76.5%にとどまった。「洋風」は年始の期間限定メニューなどキャンペーンが好調だったが、オミクロン株の感染拡大で失速し、120.6%(19年比70.6%)。「和風」も同様の傾向で119.1%(19年比70.9%)だった。

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居酒屋はまん延防止で休業する店舗も。19年比33.9%

パブ・居酒屋業態は、緊急事態宣言の影響を受けた2021年1月比で154.8%と大幅増に見えるが、19年比では35.0%と、コロナ以前への回復にはほど遠い結果となった。年初は新年会需要なども見られたが、その後は感染拡大に伴い予約キャンセルが相次ぎ、まん延防止等重点措置の適用以降は休業する店舗も。業種別に見ると、「パブ・ビアホール」は182.6%(19年比38.1%)、「居酒屋」は145.6%(19年比33.9%)だった。

ディナーレストラン業態は、家族などのグループ利用はあるが、法人の新年会需要はほとんど見られなかった。売上は激減した2021年1月の反動で136.7%となるも、19年比では65.2%。また喫茶業態もまん延防止等重点措置により、特に都市部や商業施設、観光地が大きな影響を受け、119.9%(19年比71.7%)と苦戦が続いている。

すべての業態で売上は前年を上回ったが、コロナ前の19年比で見ると回復しているとはいえず、特に「居酒屋」は33.9%といまだに客足が戻っていない現状がうかがえる。18都道府県では、まん延防止等重点措置が延長された。以前の売上に戻るにはしばらく時間がかかりそうだ。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。