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五反田『酒肴あおもん』、“日本一軽い”半熟アジフライで満員御礼!【連載:居酒屋の輪】

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『酒肴あおもん』 の店主・渡辺慎一郎さん

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繁盛している居酒屋はどこかで必ずつながっている。名店誕生までのストーリーを探りつつ、また別の新しい名店を紹介してもらう連載企画。その第1弾にふさわしい人物がいるという情報を元に、サラリーマンで賑わう夕暮れどきの五反田駅に降り立った。

7.8坪で月商800万円以上を売り上げると評判の繁盛店『晩酌屋おじんじょ』。その元店長が独立し、新しいお店を出したらしい。そんな噂を聞きつけて向かったのは、五反田駅から徒歩7分の雑居ビル。目印は、地下に降りる階段の脇に置かれた『あおもん』という小さな看板だけ……。

店頭には何の情報もない。本当に営業しているのだろうか?

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「2023年の2月24日にオープンして、2週間くらい過ぎたあたりから予約で席が埋まるようになりました」と笑顔で応じてくれたのは、店主の渡辺慎一郎さん。広告にも一切お金をかけていないそうだが、すでに1か月先まで多くの予約が入っているという。連日の満員御礼、その秘訣から尋ねてみた。

【注目記事】「こんな店が欲しかった」を追求する繁盛店。経堂『今日どう?』の店づくり戦略

駅遠の地下物件で繁盛したら「カッコいい!」

「都内で飲食店をするなら、やはり口コミが強いです。SNSのない時代からずっとそう。お店の噂が広まる速度は生の声が最も早い。1組でもお客様が来てくださったら全力で接客して、そこからのご紹介で新規の方を増やしています。以前からの知り合いもちょこちょこ来店してくれますが、なんせ縁もゆかりもない土地なので、ご新規さまばかりですよ」

営業時間は工事看板でお知らせ。階段の踊り場に掲げられている

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営業時間は8時間、週1回の休みを設けて初月の売上は約370万円(坪月商約25万円)。オープン半年後を目処にしていた目標月商に早くも到達したという。今後は人材を育成しながら段階的に「計算上のベストライン」という月商600万円まで引き上げる予定だ。「一般企業と変わらない労働時間で、スタッフにきちんとお金を還元できる環境を目指しています」と渡辺さんは話す。

カウンターの細かな鱗模様が印象的。青魚に特化した居酒屋が『酒肴あおもん』だ

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店舗デザイナーによる洗練された空間。その内装費が総額で約600万円だったことまで「これから独立する人たちのヒントになったら嬉しい」と明かしてくれた。

「施工屋さんの人件費から木材などの材料費、調理器具まで、今は何もかも値上がりしています。スケルトンの状態からお店を作ると内装に2,000〜2,500万円は必要だという話でした。渋谷、恵比寿、中目黒などの物件価格も上がっていて、その契約費だけでも自己資金がなくなってしまう状況で……。そんな時に見つけたのが、この地下の居抜き物件です。なんとか自己資金内で独立できそうでしたし、こんな不利な場所で繁盛店になったらカッコいいなと思って(笑)」

もちろん、渡辺さんには勝算があった。それは約20年に渡り、さまざまな飲食店で働いてきた確かな経験に裏打ちされたものだ。

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佐藤 潮.

ライター: 佐藤 潮.

ミシュラン三つ星店から河原で捕まえた虫の素揚げまで、15年以上いろいろなグルメ記事を制作。酒場系の本を手掛けることも多く、頑固一徹の大将に怒られた経験も豊富だ。現在、Webのディレクターや広告写真の撮影など仕事の幅が広がっているが、やはりグルメ取材が一番楽しいと感じている。