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「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入。飲食店は改めてHACCPに基づいた衛生管理の見直しを

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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5月22日、うどん専門チェーン店『丸亀製麺』が提供する「丸亀シェイクうどん」に、生きたカエルが混入していたという話題がインターネット上で拡散された。発端となったのは、5月21日に当該商品を購入したというSNSユーザーの投稿だ。

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今回は、混入事故の概要を紹介するとともに、2021年より義務化されたHACCPに基づく衛生管理の重要性について、改めて解説する。

『丸亀製麺』、カエル混入は原材料由来と発表し謝罪。工場の立ち入り検査を実施

うどん専門チェーン店『丸亀製麺』は5月23日、テイクアウト用新商品「丸亀シェイクうどん」に、生きたカエルが混入していたとして、公式サイトで謝罪した。5月16日に販売を開始した「丸亀シェイクうどん」は、縦型カップ容器の中にうどん、だし、具材が入った商品で、振って混ぜることで、手軽にうどんが食べられると話題になっていた。

カエルが混入していたのは、ラインナップのうちの「ピリ辛担々サラダうどん」。5月21日に長崎県諫早市の「丸亀製麺諫早店」で「ピリ辛担々サラダうどん」を購入したとみられる利用者から、カエルが混入しているという申し出があった。同商品には生野菜(サラダミックス)が使用されており、同社は原材料(野菜加工工場)由来の混入と判断。生野菜を扱う取引先の全工場において立ち入り検査を実施した。

立ち入り検査後、検品水準の向上を確認したとしながらも、今回カエルが混入していた「ピリ辛担々サラダうどん」とサラダミックスを使用する「ごまだれサラダうどん」については、当面の間、販売を中止するとしている。

HACCP完全義務化から約2年。飲食店は改めて衛生管理の徹底を

飲食店において、今回のような異物混入を完全になくすことは難しくとも、衛生管理を徹底する努力は必要であり、その際に重要な指針となるのがHACCP(ハサップ)の考え方だ。

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、基礎的な衛生管理を指す「一般的衛生管理」と、各メニューの調理過程ごとに作る「重要管理」のポイントにおいて衛生管理計画を立て、その計画を実施、記録していく作業だ。もともとは、アメリカで宇宙食の安全性確保のために考えられたものだったが、現在では国際的な衛生管理手法の一つとなっている。

日本における食品関連事業者のHACCPによる衛生管理は、2018年6月に食品衛生法が改正された後、一年間の猶予期間を経て、2021年6月から完全義務化された。

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■まずは「一般的衛生管理ポイント」をチェック
「一般的衛生管理」とは、HACCPのベースとなる基礎的な衛生管理のこと。以下のポイントを軸に食品や厨房器具の扱い、従業員の健康管理などを確認していく。

①原材料の受け入れの確認
②冷蔵・冷凍庫の温度の確認
③交差汚染・二次汚染の防止、器具等の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒
④従業員の健康管理・衛生的作業着の着用、衛生的な手洗いの実施など

■メニューの調理過程ごとに「重要管理ポイント」を確認
次に、メニューを「冷たいまま(加熱せず)提供する料理」「温かい状態で(加熱して)提供する料理」「加熱調理後に冷却して再加熱、または冷たいまま提供する料理」の3グループに分類し、温度帯ごとにチェック方法を決めていく。たとえば、非加熱のメニューであれば「冷蔵庫の温度をチェックする」、加熱するメニューであれば「火の強さや時間、肉汁、見た目、中心部の温度をチェックする」などの事項が挙げられる。

こうしたポイントごとに衛生管理計画を策定・実施・記録することで、万が一事故が起こったとしても、要因の特定がしやすくなる。今回の出来事を機に、飲食店をはじめとする食品関連事業者は、衛生管理について改めて見直してみてはいかがだろうか。

▼参考資料:公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)概要版」

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com