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坪月商52万円を誇る水道橋『スタンドヒーロー』。2度の挫折を糧に「立ち飲み界のヒーロー」に

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店主の井上勝司氏。和食業態で10年ほど修業を重ね、居酒屋企業で繁盛酒場の立ち上げを経験した後『スタンドヒーロー』を開業した

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『スタンドヒーロー』は東京・水道橋で屈指の繁盛ぶりを見せる立ち飲み酒場だ。日が暮れる前から店内、店頭のスタンディングスペースは仕事帰りのオフィスワーカーで溢れかえり、それが閉店時間まで続く。

9.5坪の規模で1日平均80人超を集客し、月商は500万円。創業から17年経った今も呑兵衛に愛され続ける『スタンドヒーロー』の強さの秘訣を店主の井上勝司氏に聞いた。

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ビールケースの上に板を乗せた簡易的なスタンダードテーブル5卓を店頭に設置

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日が沈むころには店内、店頭は呑兵衛たちで満員御礼

東京・水道橋で断トツの集客力を誇る立ち飲み酒場『スタンドヒーロー』。連日、17時の開店時間と同時にお客が続々と入店し、18時前にはスタンディングで最大35人を収容する店内はお客で埋め尽くされ、19時前には簡易式のスタンディングテーブル5卓が並ぶ店頭も満席になる。

主客層は近隣に勤務する30~50代のオフィスワーカーで、来店客の男女比は7対3。土曜はInstagramなどを見た目的利用の来店客も増えているというが、あくまでメインは普段使いのお客だ。客単価は2,600円。日曜・祝日定休の月25日営業ながら、1日の平均客数は80人を超えており、月商は500万円、坪月商52万円を売り上げている。

JR水道橋駅東口から徒歩2分の線路脇というアクセスのよい立地に店を構える。飲み屋街から外れており、日が暮れると周囲は暗くなるが、駅利用者が通るため、遅い時間帯でも店前歩行者数は多い

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昼は繁盛するも夜は閑古鳥。苦戦続きだった創業時

『スタンドヒーロー』の創業は2006年10月。店主の井上勝司氏は割烹などの和食業態で10年ほど修業を重ねた後、『海鮮問屋 磯べゑ』などの居酒屋を多業態展開する有限会社松風堂に勤務。そこで複数店の立ち上げを経験してから独立を果たした。

すでに開業から17年が過ぎているが、「これまでに大きな挫折を2回経験した」と井上氏は振り返る。

1回目の挫折は創業時だ。実は『スタンドヒーロー』はもともと二毛作業態で、昼に立ち食いうどん、夜に串天ぷらの立ち飲み酒場のスタイルを採っていたが、「ランチが繁盛し過ぎたのが失敗でした」と井上氏は説明する。

「昼過ぎまでお客様の来店が途切れなかったのですが、いかんせん、客単価が500円にも満たないため、どんなに頑張ってもランチ日商は2万円程度。クタクタになってから夜の仕込みをしていたため、酒場の営業に身が入らず、そのせいで毎日閑古鳥が鳴くような状態が続いていました」

フロアにはスタンディング用のハイカウンターやハイテーブルを設置。壁には井上氏がヒーローに憧れていた子供の頃の家族写真がデザインされている

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。