坪月商40万円『炉端酒場 ぎんぎん』から学ぶ。実直な「居酒屋づくり」と繁盛店に導く「経営論」
ドリンクメニューにまで会話の糸口を忍ばせる!
ロゴマークに描かれている通りドリンクの中心は日本酒なのだが、気になったのが定番メニューのネーミング。ハチミツを入れて甘酸っぱく仕上げた初恋スカッシュや、皮ごとすりおろしたレモンの塩漬けを使った失恋スカッシュなど、レモンサワーの名前だけでも会話が弾みそうな情報量だ。
「ハイボールの名前にも面白い由来があって。実は、この店舗って文京区と新宿区のちょうど区境の上にあるんです。お店のこっち側が文京区の関口町、向こう側が新宿区の山吹町。『私は関口町に住んでるから、こっちのハイボールね』なんて、お客さま同士の会話のツールになりそうだと思ったのですが、今の所あまりウケてないですね(笑)。ちなみにスコッチとバーボンを使い分けて味を変えています」
やはり最も大切なのは「人」。つながりを深めて次のステップへ
日本酒のラベルや空ボトルを内装に活かす店は多い一方、米袋を飾る店は珍しく、その絵柄について会話を弾ませるお客も多い。
「なんだかダサい絵柄が目立つのも魅力だと思っています(笑)。1つの銘柄にこだわりたい気持ちもありますが、昨今の価格高騰などを踏まえると、色々なものを扱うほうがリスクヘッジになるとも考えました」
お客同士の会話が盛り上がるよう、接客も常に気配りを欠かさない石井さん。今後の経営戦略においても肝心なのは人間力、スタッフの成長ありきだと語ってくれた。
「現在『炉端酒場 ぎんぎん』の経営は順調ですので、2店舗目を開きたいという気持ちはあります。とはいえ、居酒屋は人ありきの商売です。安心して店を任せられる人材が育たない限りは、次のステップには進めないとも思っています。創業前から3人以上で働きたいと考えていたのもそれが理由です。創業店でスタッフをしっかり育てるなら丁度いい人数ですから。人件費などの計算もすると、15坪という今の店舗が最適でした。計画通り、今はしっかりと『人を育てる』タイミングです。でも、次は江戸川橋か神楽坂どちらで店を構えようか、なんて先々の展開までつい考え込んでしまうんですけどね(笑)」
コンセプトづくりから場所選び、メニュー展開まで堅実なプランで『炉端酒場 ぎんぎん』の経営を軌道に乗せただけあり、今後の経営戦略についても実直さがうかがえる。先人たちの教えを大切にしながら先を見越して考え抜く力、それを伝えて「人を育てる」ことが石井さんの独立した動機でもある。この店で今後どのような人が育つのか、次はどんな店が誕生するのか。そんな先々までの想像を酒のさかなにできるのも『炉端酒場 ぎんぎん』の醍醐味だろう。
『炉端酒場 ぎんぎん』
住所/東京都新宿区山吹町364 郷馬ビル1-B
電話番号/03-6882-4488
営業時間/17:00~23:30
定休日/不定休
坪・席数/15坪36席
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