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「スポットワーカー」は飲食店の人手不足解消に役立つ? 主なサービスやメリットを解説

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短い時間で好きな仕事を選んで働く「スポットワーク」が急増している。新型コロナウイルスの感染症法上の取り扱いが5類に移行して以来、外食需要が急回復していく中で、人手不足に悩む飲食店も多いが、スポットワーカーを採用することで人手不足を解消することができるのだろうか。今回は飲食店でスポットワーカーを採用する際のメリット・デメリット、主なスポットワーカー仲介サービスについて解説する。

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新しい働き方として注目されているスポットワークとは?

スポットワークとは、継続した雇用関係がなく短時間・短期間で働くこと。スキマバイトといった呼び方もあり、スポットワークで働く人のことをスポットワーカーという。スポットワークには大きく分けて、雇用契約を結ばない「ギグワーク」と短期雇用契約を結ぶ「単発バイト」の2つがある。

スポットワーカーの数は年々増加しており、2025年には500万人を超えると予測されている。スポットワーカーが急増する状況を踏まえ、2022年にはスポットワークの健全な発展などを目的とした一般社団法人スポットワーク協会も発足した。

スポットワークを行うには、スマホアプリなどで利用できるスポットワーカー仲介サービスを介することが一般的で、また最近は飲食店向けのスポットワーカー仲介サービスも増えてきている。

飲食店がスポットワーカーを採用するメリット

では、人手不足に悩む飲食店にとって、スポットワーカーを採用する際にどのようなメリットがあるのだろうか。

まず、急な人手不足に対応しやすいことがメリットとして挙げられる。スタッフの病欠などで急に人手が足りなくなってしまった場合に、業務内容や条件によってはその日にスポットワーカーを手配できることもある。大人数の予約が入ったときなど、必要なときにだけ人員を増やすことも可能だ。

また、スポットワーカーを採用した場合、継続契約とは異なり、スポットワーカーが働いた分だけ支払えばよいのもメリットだといえるだろう。継続契約であれば、人員が足りている場合でも人件費がかかってしまう。状況に応じた人件費管理が可能だ。

なお、スポットワーカーを採用した場合に支払う金額は、報酬とスポットワーカー仲介サービスの手数料になる。「タイミー」を例にとると、報酬+サービス利用料(報酬の30%)+振込手数料(220円税込)となっており、報酬が5000円だった場合は、5000円+1500円+220円=6720円となる。

飲食店がスポットワーカーを採用するデメリット

飲食店にとってメリットのあるスポットワーカーだが、デメリットもいくつかある。ひとつは、人材の質が不安定な点だ。スポットワーカーの能力にはばらつきがあり、ミスマッチの可能性がある。また、スポットワーカーによって理解力や適応力も異なるため、期待通りの働きをしてくれないこともある。事前に研修を行うこともできないため、専門性の高い仕事を任せることは難しいといえる。

加えて、スポットワーカーを採用する場合には、店舗オペレーションを整備する必要もある。スポットワーカーの能力に関係なく業務が行えるようにしなければ、スムーズに店舗運営できなくなってしまうかもしれない。また、貴重品管理など店舗内でのルールも整備し、トラブルが起こらないようにする必要もある。

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主なスポットワーカー仲介サービス

現在では、さまざまなスポットワーカー仲介サービスがあるが、そのうちのいくつかを紹介する。

■タイミー
500万人以上のスポットワーカーが登録しており、マッチング率は90%以上。求人は勤務実績の優れたワーカーから先行公開され、希望の人材にマッチングしやすい。

特徴:
・条件を指定して希望の人材を選べる
・最短即日でマッチングできる
・スポットワーカーの登録者数500万人以上
▼タイミー

■シェアフル
Webからすぐ求人を掲載し、人材を即日採用可能。勤怠管理や給与計算、給与振込代行などの業務もシェアフル上で一元管理することができる。

特徴:
・即日求人が出せて即日採用可能
・労務関連業務もシェアフル上で一元管理
・成果報酬型で働いてもらうまで費用がかからない
▼シェアフル

■ショットワークス
求人情報をすぐ作成して募集開始でき、勤務地や勤務日などの指定も自由。大学生やフリーター、主婦・主夫層が中心で、ニーズにあった人材にアプローチできる。

特徴:
・好きなタイミングで募集掲載が可能
・ニーズにあった人材にアプローチできる
・成果報酬型で採用コストを削減
▼ショットワークス

■スキマワークス
人手不足の飲食店とスポットワーカーをマッチングさせるプラットフォーム。ミシュラン掲載店や有名チェーン、個人店など、500店以上の飲食店が登録。

特徴:
・飲食店の求人が豊富
・首都圏が中心
▼スキマワークス

タイミーでは、スポットワーカーで店を運営する飲食店を実現

スポットワーカー仲介サービスの「タイミー」は、さまざまな飲食店経営を行うミナデインとともに、アルバイト全員がスポットワーカーという『新橋銀座口ガード下 THE 赤提灯』をオープン。

オープンの背景としては、飲食業界の人手不足の解決のために、飲食業界に魅力を感じてもらう必要があるという考えがある。新しい人材採用・育成のモデルケースになることを目指し、「初めての人が働きやすいこと」を追求した独自のカリキュラムを設計しているという。同店がモデルケースとなることで、飲食店の人材採用の方法も変化するようになるかもしれない。

スポットワーカーが増加しているという調査の通り、スポットワークは新しい働き方として世の中に浸透してきているといえるだろう。人手不足を解消するひとつの方法として利用を検討してみてはどうだろうか。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com