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飲食料品の値上げ、2024年の見通しは? 昨年は値上げ品目数が過去30年で最多を記録

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画像素材:PIXTA

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帝国データバンクの調査によると、2023年は家庭用を中心とした飲食料品において、記録的な値上げラッシュの一年だったことがわかった。今回は、2023年の飲食料品の値上げ動向と2024年の見通しについて、帝国データバンクの調査結果をもとに解説する。

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年間3万品目超え。2023年は過去30年で例を見ない値上げラッシュに

帝国データバンクによると、2023年の家庭用を中心とした飲食料品の値上げは、当初想定されていた年3万5,000品目を下回ったが、累計で3万2,396品目にも及んだという。2022年の値上げは累計で2万5,768品目となっており、2年連続で、全食品分野における一斉値上げが行われたかたちだ。年間3万品目超の値上げは、バブル崩壊以後の過去30年でも例を見ないという。

時系列で見ると、2月に冷凍食品や練り製品、つゆ・だし製品、菓子類などの計5,639品目で値上げが行われ、2023年では最も値上げ品目が多い月となった。2023年後半で最も値上げの多かったのは10月で4,758品目。しかし、8月以降は前年同月を下回っており、11月は過去2年間で最少となる139品目の値上げにとどまった。後半に値上げが減速したのは、消費者による買い控えで販売数量が減ったことなどを受け、値上げを見送ったケースが多かったからだと見られる。

株式会社帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査―2023年動向・24年見通し」調査より

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2024年の値上げペースは減速傾向も、円安や賃金上昇の動きを引き続き注視

では、2024年の値上げ動向はどのような予測になっているのだろうか。2024年に値上げが予定されている飲食料品は、2023年末時点で3,891品目となっており、通年でも最大で1万〜1万5,000品目だと想定される。2023年に比べると値上げのペースは大幅な減速傾向にあり、大規模な値上げが続く可能性は低いと見られている。

なお、値上げが予定されているのは、冷凍食品類やベビーフード、パスタソースなどの「加工食品」で2,137品目、トマトケチャップやだし・つゆ製品などの「調味料」で784品目、輸入ウイスキーなどの「酒類・飲料」で417品目、氷菓やクッキー、ガム、グミ、チョコレート製品などの「菓子」で248品目と続く。また、値上げ要因としては、円安による影響が39%と最も多い。人件費も16%となっており、ともに2023年を大きく上回る想定だ。

株式会社帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査―2023年動向・24年見通し」調査より

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昨年ほどの値上げラッシュは起きないだろうと予測されているが、円安が再加速すれば、状況が変わる可能性はある。原油や食材などの価格高騰、賃金上昇にも再び影響を受けるかもしれない。飲食店においては、2024年も経済の状況を注視し、その都度対策を考えていく必要があるだろう。

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com