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新店・虎ノ門『ランパダ』も絶好調のダルマプロダクションに学ぶ「コンセプトメイク術」

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2024年1月に「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」内にオープンした『ランパダ』とスタッフのみなさん

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渋谷『Osteria Urara(オステリアウララ)』、原宿『ALA(アラ)』、代々木上原『Viva Banco(ビババンコ)』など東京と横浜、福岡に9店舗を展開するダルマプロダクション。イタリアンをベースとしながらも、同じ店は2度作らないオンリーワンの店作りを行っている。「飲食店ドットコム ジャーナル」が2018年にインタビューを行ってから約6年。更なる勢いを増すダルマプロダクション代表の古賀慎一氏に、令和の飲食店に求められるコンセプトメイク術、洋食酒場の可能性を聞いた。

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イタリアンを軸にコンセプトの異なる9店舗を展開するダルマプロダクション

2012年2月、メニューのないイタリアンレストランとして渋谷区猿楽町に『オステリアウララ』をオープンさせ、立地の悪さをものともしない人気店へと成長させた古賀氏。続く原宿の『ALA(アラ)』では、イタリア料理でありながらも、串焼き(スピエディーノ)にフォーカスを当てた。2014年オープンの中目黒『アカベコ』ではイタリア料理のボリートミスト(肉おでん)を、日本酒と合わせる創作和食店という新たなコンセプトを打ち出す。イタリアンを軸としながら、異なるコンセプトで多店舗展開を行なっているのがダルマプロダクションの特徴だ。

ダルマプロダクション代表の古賀慎一氏

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港北ニュータウンではファミリー層を、浜松町では団体客に着目し出店

2014年に知り合いからの紹介で店舗をリニューアルオープンする形で誕生させた『FRESCO(フレスコ)』では、ファミリー層を取り込むコンセプト作りを心がけたという古賀氏。

「ここは横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅近く、いわゆる港北ニュータウンに立地しているため、ファミリー層が多い。そのためとがったコンセプトではなく、老若男女みんなが好きな料理を軸にしようと思い、自家製生パスタと本格イタリアンが味わえるお店にしました」

公園の中に立地し、広々としたテラス席もあり、子連れや愛犬を連れて訪れる人も多いため、ディナーよりランチ需要が高かった。そこでパスタランチは1,800円とし、ディナーはアラカルトを中心に前菜は680円~、パスタは1,300円~、メインは2,300円~、飲み放題付きのパーティープランは5,000円〜で展開。その結果、坪月商約24万円と住宅街にありながら好調な売上を誇る。

2016年には初の商業施設出店も果たす。「GEMS大門」内にオープンした『Cicci Fantastico(チッチ・ファンタスティコ)』だ。

「それまで手がけてきたのは料理人2人の小規模店舗でしたが、人材を育てるフェーズに来ていたので料理人3〜4人、ホール4〜5人でまわすお店をやりたいと思っていて。ちょうど条件に合うオファーをいただいたので、引き受けました」。

浜松町はいまだに大手チェーン店が多いエリアだったため、団体客を受け入れられて、しっかりおいしい骨太のイタリアンをやれば人が来ると考えた古賀氏。そこで1階はオープンキッチンにして、2階は団体客利用を見込んだ広いテーブル席をレイアウト。料理の主役には薪火で焼き上げるライブ感も魅力の塊肉「ビステッカ アッラ フィオレンティーナ」と、生パスタを据えた。

その結果コロナ禍以前は30人の団体客が2回転するほど集客に成功。現在も60坪、90席でランチは満席の人気ぶり、ディナーも客単価約5,500円、坪月商約21万円を記録している。

上記2店舗をはじめとした大型店舗では、モバイルオーダーも導入。アラカルトメニューは日替わりが多いため、ランチやディナー時は飲み物だけモバイルオーダーにすることで、団体客のストレスを緩和し満足度を高め、スタッフの負荷も下げられたという。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。