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夜食テロ、再び。ドラマ『孤独のグルメ』が愛される理由を考察してみた

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観たいけど、観たくない…。夜食テロ、再び

10月から放送予定の『孤独のグルメ Season5』が話題だ。このドラマは、松重豊が主演を務める作品で、雑誌『週刊SPA!』にて連載中のグルメ漫画が原作となっている。

ドラマの見どころは、松重豊演じる主人公・井之頭五郎が食事をするシーン。ある時は街の食堂で、またある時は少し寂れた居酒屋で……。いずれも贅沢とは程遠いメニューを美味しそうに食べ、時に名言をつぶやく。視聴者はその姿をただひたすら見せつけられるのだが、あまりにも美味しそうに食べる松重豊の姿、そして深夜の放送も相まって、視聴者からは「夜食テロだ」との意見も寄せられている。実際の視聴者のコメントをTwitterからご紹介しよう。

「食欲の秋に無慈悲な深夜の飯テロとの戦いが始まるのか。。」
「私肥ゆる秋の夜長にとんでもないテロがはじまる。 楽しみ」
「松重豊さんはいつもなんて美味しそうにメシを食うんだ。これみてると幸せになる」

こうしたコメントからは、「夜食テロ」とは言いながらも放送を楽しみにしている視聴者の様子が見て取れる。なぜ、これほどまでに『孤独のグルメ』は視聴者を惹きつけるのか? それは恐らく、「男一人で食事をする」という行為に、ある種の共感や憧れを抱くからではないだろうか……。

ひとりめし文化を支えるのは「救い」の哲学

『孤独のグルメ』で描かれている、いわゆる「ひとりめし」と呼ばれる文化。「文化」というほど大げさなものではないかもしれないが、主人公・井之頭五郎はある種の哲学を持って「ひとりめし」を楽しんでいる。その哲学の一端を垣間見れる台詞があるのでご紹介しよう。

「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃだめなんだ。独りで静かで豊かで…」

この台詞から読み取れるのは、「ひとりめし」に対して、「孤独の中で得られる癒し」を求めているということ。孤独だからこそ得られる自由を満喫することで、日々の癒しとしているのだ。

思考の追体験こそ『孤独のグルメ』の人気の理由

「うーん…豚肉ととん汁でぶたがダブってしまった」
「おしんことか玉子焼とか・・・となるとこのキンピラゴボウもうれしい」

これは主人公が食事中につぶやいている何気ない台詞なのだが、こうした取り留めもない思考がふと頭の中に流れる経験を誰もがしたことがあるだろう。視聴者はこの何気ない思考の流れを追体験することで、主人公の「ひとりめし」に対する哲学に共感し、憧れるのだ。『孤独のグルメ』が人気を獲得している理由は、この“追体験”に鍵があるのだろう。

10月からスタートする『孤独のグルメseason5』では、これまで通り隠れた名店が続々と登場するほか、ついに海外ロケも敢行されるのだとか。放送の影響を受けて、ひとりめしを楽しむ視聴者が増えることは間違いなさそうだ。

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『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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