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『青山ぼこい』が常連客に愛され続けるワケ。高級店が連なる表参道で“庶民派”を貫く

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店を共同経営する兄の安本夏彦氏(写真右)と弟の安本秋男氏(同左)。お互いを「あきおちゃん」「なっちゃん」と呼び合っている

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創業は1968年。高級ブティックやモダンフレンチ、リストランテなどの高単価な外食店が軒を連ねる東京・表参道の骨董通りで、半世紀以上にわたって営業を続けている居酒屋が『青山ぼこい』だ。母親の故・太宰宏子氏が創業し、安本夏彦氏と安本秋男氏の兄弟が店を引き継いでいる。時代とともに表参道の街並みが変化する中、庶民的な居酒屋のスタイルを貫き通してきたその思いをうかがった。

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客席構成はカウンター6席とテーブル3卓。1986年にビル2階に移転してから内装はほとんど変わっていない

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居酒屋、小料理店、割烹料理店の要素を併せ持つ店

『青山ぼこい』は業態特性をひと言で表現するのが難しい店だ。客単価は5,000円。その点ではやや高単価な居酒屋にカテゴライズされるが、10坪15席の店内はこぢんまりとした庶民的な雰囲気。フードメニューも「ポテトサラダ」(660円)など居酒屋の定番料理や「かぼちゃ煮」(660円)、「ピリ辛こんにゃく」(660円)といったおばんざいを揃えている。

その一方で旬の食材を用いた刺身、焼き物、天ぷらといった割烹料理など、さまざまなジャンルの料理がミックスされていることが『青山ぼこい』の特色。店の厨房を仕切る安本秋男氏は「常連のお客様の要望に合わせてメニューを工夫してきた結果なんです」と説明する。

小さな提灯を置いた落ち着いたたたずまいのファサード

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『青山ぼこい』は創業者である故・太宰宏子氏が6坪の小さな居酒屋として1968年に開業。家庭料理を提供する居酒屋として近隣住民に親しまれてきた。1986年に建物がビルに建て替えられ、『青山ぼこい』もそのビルの2階に移転。10坪15席とやや規模が大きくなったこともあり、そのタイミングで宏子氏のご子息である安本夏彦氏がフロア、秋男氏がキッチンに立ち、母子3人で店を切り盛りしてきた。

秋男氏は日本料理店で修業を積んでいたため、割烹料理店に業態をリモデルすることもできた。しかし、「母の家庭料理を食べたい常連のお客様がたくさんいらっしゃいましたからね。そうした方のニーズにも応えながら、新しいお客様にもご満足をいただけるよう、品揃えの試行錯誤を繰り返しました」と秋男氏は言う。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。