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横浜屈指の繁盛店、トラットリア・ダ・ケンゾー。売上を作るのは凄腕の「カメリエーレ」たち

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西沢健三シェフと、右腕の菱沼直人さん

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横浜屈指の繁盛店が馬車道にある。西沢健三シェフが2020年4月に開業した『トラットリア・ダ・ケンゾー』(以下ダ・ケンゾー)だ。テーブル席、カウンター席、テラス席を合わせた全85席が昼も夜も連日ほぼ満席。なぜこの店は人気なのか。

健三シェフの良きライバルでもある濱崎泰輔シェフ(神楽坂『ラ・タルタルギーナ』のオーナーシェフ)は、『ダ・ケンゾー』が流行っているのは“ホール力”があるからだと分析する。

「『ダ・ケンゾー』は健三シェフの料理に加え、ソムリエの矢野航君を筆頭に、優秀なカメリエーレ(給仕係)が揃っています。人気店とそうでない店の違いは“ホール力”の差です」(濱崎シェフ)

すべての飲食店に共通していることだが、料理だけでは売上に限界がある。飲食店の多くがコロナ禍の緊急事態宣言下で酒類を販売できず、売上が立たなかった苦い経験をしたはずだ。

『ダ・ケンゾー』のカメリエーレは5人。そのうちの3人がソムリエ(ソムリエ資格を持つコックも1人)。カメリエーレがワインの注文を取ってくるから売上が立っているという言い方もできるが、この店が繁盛する要因はワインだけではないようだ。

コロナ禍でオープンした『ダ・ケンゾー』がなぜ繁盛店になったのか。人気の秘密を取材した。

【注目記事】イタリア料理界の重鎮『アクアパッツァ』日髙良実シェフが語る「コロナとの闘い」

『トラットリア・ダ・ケンゾー』の西沢健三シェフ

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客とのコミュニケーションが売上を作る

ワインと料理とサービスが揃って初めて良いレストランだと感じてもらえると濱崎シェフは指摘する。

「『ダ・ケンゾー』では、5人のカメリエーレがお客さん一人ひとりにちゃんとサービスしています。健三シェフもときにホールに立ち、お客さんとコミュニケーションを取っている。それもあの店の魅力です」(濱崎シェフ)

健三シェフ自身「お客様とのコミュニケーションが欠かせない」と言い切る。

「売上を作るのはカメリエーレです。イタリアで5年弱修業しましたが、その間、料理人よりもカメリエーレのほうが人件費が高いことを学びました」(健三シェフ)

手打ちパスタと自家製パンが人気

「健三シェフがホールでお客さんと話ができるのは、キッチンスタッフを統率できているから」と濱崎シェフは言う。そのキッチンスタッフの要となっているのが菱沼直人さんだ。『ラ・テンダロッサ』時代も含めて21年間、健三シェフの右腕を務めてきた。

「『今日はこういう食材があるので、こんな料理はどうか』という提案が直人からいつもあります」(健三シェフ)

菱沼さんが打った「手打ちピーチ 天然 猪のラグー」

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パスタはスパゲッティやショートパスタ以外はすべて手打ち。菱沼さんが若いコックと一緒に、朝とアイドルタイムにミキシングマシーンとパスタマシーンでパスタを打つ。

手打ちパスタはニョッキ、ピーチ、タリアテッレ、トルテリーニの4種類。健三シェフがイタリアで学んだ手打ちパスタの作り方を菱沼さんが受け継いだ。

「手打ちパスタに加え、自家製パンも『ダ・ケンゾー』の魅力です」(濱崎シェフ)

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中島茂信

ライター: 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。