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『ラーメン二郎』一部店舗で写真・動画の撮影を原則NGに。飲食店がとるべきスタンスとは?

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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11月末、『ラーメン二郎 府中店』は公式Xにて、「店内での写真・動画の撮影は原則禁止。写真撮影は、注文したラーメンのみOK」という主旨の内容をポストした。SNSや動画サイトでは、多くの飲食店が写真や動画とともに紹介されているが、一方で撮影者のマナー違反により、従業員や撮影者以外の客が迷惑を被るケースも少なくない。

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本稿では『ラーメン二郎 府中店』が、写真・動画撮影の原則禁止を呼びかけるに至った経緯を紹介するとともに、飲食店内でのお客による撮影問題について考える。

『ラーメン二郎 府中店』ラーメンの写真以外、原則「撮影NG」に

11月27日、『ラーメン二郎 府中店』は、店内での写真・動画撮影を控えるよう呼びかける貼り紙の画像とともに、「(もし写真撮影をするのであれば)お食事のラーメンのみでお願いします」とのメッセージを公式Xに投稿した。店内の貼り紙には、「インスタグラム・YouTubeはじめ写真・動画の撮影は当店舗だけでなく、他のお客さまにも、ご迷惑になりますので、お止めくださるようお願いします」とある。また文末には「ラーメン二郎 営業審査委員会 弁護士 金子正志」との名前も記され、強い意思で注意喚起をしていることがわかる。

さらに、同月29日には『ラーメン二郎 亀戸店』が府中店のポストを引用し、同様の理解を求めた。投稿によれば、これまでにも亀戸店では、スタッフが盗撮され、SNSで写真を公開されたことがあったという。こうした背景から、亀戸店でも基本的にラーメン以外の写真・動画の撮影は禁止している。

今回の府中店の投稿に対しては、「何が迷惑なの?」「自分はラーメン動画とか趣味ないけど、そういうのって自由じゃないかね」など、疑問を呈するリプライがいくつか寄せられているものの、900を超える「いいね」が付いており、外部の反応はさまざまだ。

写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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事前に決めておきたい、飲食店内での撮影ルール

飲食店内などで写真や動画の撮影をすることの是非について、明確な線引きはない。しかし、店内で撮影された写真・動画がSNSや動画サイトなどに投稿されることで、肖像権侵害などのトラブルに発展するケースもあるため、事前に店舗独自のガイドラインを設けておくことは重要だ。例として、以下のようなルール決めが考えられる。

例1:撮影可能な範囲や公開先を限定する
限定的に撮影を許可する場合は、「他の客や従業員の個人情報が特定できないようにする(写り込みなど)」「厨房やバックヤードの撮影は禁止する」など、どこまでがOKで、どこからがダメなのかを具体的に明示しておきたい。

また、今回の『ラーメン二郎 府中店』のように、撮影可能な被写体を料理のみに限定するのも一つの方法だ。その上で公開先は客個人のブログやSNSに限定し、商業・営利目的のサイトへの投稿は禁止にするといった対応もある。

例2:店内での撮影を一切禁止する
最も手っ取り早く、かつシンプルなのは、店内での撮影を一切禁じてしまうことだ。しかし、そうした方針を急に打ち出す場合は、お客に対して何らかの明確な理由を示す必要があるだろう。店内の貼り紙やSNSなどを通じてアナウンスする際は、わかりやすく誠実に伝えることがポイントだ。

情報が簡単に「拡散」される現代においては、客も飲食店も不快な思いをすることがないよう、自店の事情に沿ったルール作りを検討しておきたい。同時に、アルバイトを含め従業員全員に店の方針を周知しておくことも重要だ。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」