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飲食店における2024年問題。冷凍食材などのストックで物流問題の影響を最小限に

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飲食業界に繁忙期と呼ぶにふさわしい年末年始が戻った。一方で、今年は働き方改革関連法の新ルール開始から5年目となる年。本記事では物流・運送業界の労働時間縮小がもたらす、いわゆる「2024年問題」について、飲食業界への影響に焦点を当てながら解説する。

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物流・運送業界の時間外労働上限規制によって起きる「2024年問題」

働き方改革関連法が施行された2019年から、「時間外労働の上限規制」が段階的に進められてきた。規制の目的は、過度の残業をなくして、働く人たちの健康を確保すること。2024年4月には、これまで猶予されてきた物流・運送業界でも規制がスタートする。

しかし、物流・運送業界が昨今抱えている燃料費の高騰、ドライバー不足問題などと労働時間の規制が重なり、2024年以降は業界全体の輸送能力が大きく落ちる可能性も懸念されている。これが物流・運送業界を取りまく「2024年問題」だ。このまま物流効率化に取り組まなければ、2030年には34.1%の輸送能力不足が起こるという政府の試算もあり、経済の停滞につながりかねないとも指摘されている。

翌日配送NG、コストアップの可能性など飲食業界への影響も

飲食業界では生鮮食材をはじめ、メニューへのこだわりから特定の食材を仕入れることがあるため、2024年問題の影響は避けられないと考えられる。では、具体的にはどんな問題が起こり得るだろうか。

■配送遅延による「生鮮食材の鮮度低下」
輸送能力不足から、翌日配送などのスピード対応が難しくなるため、新鮮な食材を予定通り仕入れることが難しくなる。

■配送代上昇による「食材コストの増大」
送料無料・翌日配送といった利便性の高い配送サービスの利用が難しくなるだけでなく、再配達や長距離輸送による追加料金が発生することも考えられる。

こうしたことから、従来の感覚では仕入れがしにくくなる可能性があるのだ。

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飲食店は冷凍食材の活用や食材ストックの見直しを

「物流の2024年問題」が目の前に迫っている今、飲食店においてはすぐにできる取り組みから始めていきたい。

■冷凍食材の活用
近年は食品の冷凍技術も進歩している。高い鮮度を保った冷凍食材をうまく活用すれば、価格に見合った料理を提供できるかもしれない。また生鮮食材の仕入れ頻度を減らすことで、コスト削減にもつながる。

■保管スペースの確保
物流業界の変化を背景に、今後仕入れ先から配送頻度に関する相談を受けることがあるだろう。保存のきく食材に関しては、一度に大量の仕入れを行う必要がありそうだ。今のうちに食材保管スペースの確保も進めておきたい。

「2024年問題」は、物流にかかわるすべての業界で起きると考えられるため、値上げが受け入れられやすい時期でもある。増えるコストのすべてを企業や店舗の努力で吸収しようとせず、商品への価格転嫁も視野に入れた上で乗り越えていきたい。

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」