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冬はノロウイルスによる食中毒が増加傾向に。飲食店ができる感染防止策や衛生管理は?

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例年冬の時期は、ノロウイルスなどをはじめとする感染性胃腸炎の集団感染が多数報告される。ノロウイルスの感染経路は基本的に経口感染のため、飲食店ではしっかりと感染予防を行っておきたい。そこで今回は、飲食店が知っておきたいノロウイルスによる食中毒の予防策を紹介する。

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今年も各地の飲食店で集団感染の事例報告が

食中毒の原因菌として知られるノロウイルス。特に空気が乾燥する冬の時期には、毎年ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の感染事例報告件数が増える傾向にある。最近では、東京・上野公園で1月6日から8日に開催された「牡蠣フェス」にて、35人が下痢や嘔吐など食中毒の症状を訴えた。保健所の調査によってノロウイルスが原因の食中毒と断定。加熱が不足していた牡蠣を食べたことが原因と見られている。

また、新潟県三条市の飲食店では、ノロウイルスによる集団食中毒が発生。食事をした30人が発熱や嘔吐などの症状を訴えて保健所が調査したところ、ノロウイルスによる食中毒と断定され、同店は2日間の営業停止処分となっている。

ノロウイルスによる食中毒が発生する原因と予防策

ノロウイルスの感染経路は、基本的に経口感染とされる。ノロウイルスに汚染された食品を食べてしまうケースや、感染者の便やおう吐物に触れた手などから体内に入ってしまうケースがあり、発症すると下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの症状を引き起こす。飲食店では、ノロウイルスに汚染された二枚貝などの加熱不足が原因になることもあるが、ほとんどは調理する人の手指などを介して感染することが多い。また、ノロウイルスにはワクチンや抗ウイルス剤がなく、ノロウイルスが原因の食中毒には対症療法が基本となる。まずは予防を徹底することが大切だ。

厚生労働省は、ノロウイルスが原因の食中毒を予防するために「持ち込まない」「拡げない」「加熱する」「つけない」という4つの原則を掲げている。これをもとに次のような予防策を行うといいだろう。

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■作業前の手洗いを徹底する
「トイレ後」「調理施設に入る前」「料理の盛付けの前」「次の調理作業に入る前」には、しっかりと手洗いを行う。爪の間や指先、手首など、汚れが残りやすい部分は特に丁寧に。

■調理器具を消毒する
アルコールや石鹸ではノロウイルスは失活化しないため、洗剤などで十分に洗浄した後、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸しながら拭く。

■食材をしっかりと加熱する
ノロウイルスをはじめとするウイルスは熱に弱いため、予防には食材をしっかり加熱することが大切。二枚貝などの場合は、中心部が85〜90度で90秒以上の加熱が必要だ。

■健康管理に気をつける
吐き気や下痢などの症状があるスタッフには、食品を直接取り扱う作業をさせないようにする。普段から感染しないように注意するだけでなく、症状が出た場合は責任者に報告する仕組みを作るようにする。

ノロウイルスをはじめとするウイルスは、感染しても症状が出ない場合もある。そのため、無自覚のまま感染源になってしまうことも大いにあるだろう。流行期には、誰もが感染を拡大させる可能性があることをしっかり意識し、普段から衛生管理を徹底していくことが重要だ。

※参考
▼ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?(政府広報オンライン)
▼ノロウイルス(感染性胃腸炎・食中毒)対策(首相官邸)

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富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com