飲食店ドットコムのサービス

飲食業倒産件数9か月連続で前年同月を上回る。8月には前年年間倒産件数を超える可能性も

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

画像はイメージ。画像素材:PIXTA

画像を見る

新型コロナウイルス感染症の5類移行やインバウンド需要の増加によって、飲食業の売上は回復傾向にある一方、店舗数はいまだ2019年のレベルに戻っていない(参考:日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2023年6月度 結果報告」)。業界基盤の回復には、まだまだ時間を要する見込みだ。こうした中、東京商工リサーチが調査した2023年1月から7月の「飲食業の倒産動向」によると、飲食業の倒産は2023年1月から7か月連続で前年同月の1.5倍を超える増加率が続いていることが明らかになった。今回は、東京商工リサーチの調査結果をもとに、2023年1月から7月の飲食業倒産の状況について紹介する。

【注目記事】『渋谷 半地下酒場』24坪で月商1,500万円。「飲食店は、物件ありき」の真意を聞く

2023年は月平均70.7件の倒産件数

2023年に入ってから飲食業の倒産が増加しており、1月から7か月連続で前年同月の1.5倍を超える増加率となっている。7月までの倒産件数は495件(月平均70.7件)で、このペースで推移すると8月にも前年の522件を上回る見込みだ。過去最多の倒産件数だった2020年の842件を超える可能性もある。

東京商工リサーチ「2023年(1~7月)『飲食業の倒産動向』調査」より

画像を見る

また、コロナ関連倒産は7月までに334件が報告されており、すでに前年の年間319件を上回っている。2022年はコロナ関連の支援もあり飲食業の倒産は低水準で推移していたが、その効果が薄れたことも倒産件数が増えた要因だろう。

宅配飲食サービス業などはすでに前年の年間倒産件数を超える

飲食業の倒産件数のうち、業種別で多いのは「食堂、レストラン」の125件、「専門料理店」の111件、「酒場、ビヤホール」の105件と続く。

倒産件数の増加率を見てみると、「宅配飲食サービス業」が216.6%増、「持ち帰り飲食サービス業」と「食堂、レストラン」が118.1%増となっており、この3業種については、2022年同月の2倍を超え、すでに2022年の年間倒産件数を超えている。「宅配飲食サービス業」については、コロナ禍で新規参入が増え、淘汰が進んでいる状況だとみられる。

東京商工リサーチ「2023年(1~7月)『飲食業の倒産動向』調査」より

画像を見る

【注目記事】「居酒屋は、死なない」。逆境の中、僕らが「原点回帰」の居酒屋を作った理由

36都道府県で倒産件数が増加

都道府県別に見てみると、倒産件数は36都道府県で増加しており、減少は7府県、同数は4県だった。

また、倒産件数10件以上で増加率が目立ったのは、群馬400.0%増、広島250.0%増、愛知230.7%増、福岡154.5%増など12都道府県。減少したのは京都府のみとなった。

東京商工リサーチ「2023年(1~7月)『飲食業の倒産動向』調査」より

画像を見る

飲食業の売上は回復傾向にあるとはいえ、食材価格や光熱費の高騰をはじめ、コロナ融資の返済負担、人手不足による人件費のコスト増なども続いており、飲食業の倒産は今後も続くと見られる。飲食業にとっては、コスト削減や業態変更、新メニュー開発など、さらなる対策が必要になるだろう。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
富江弘幸

ライター: 富江弘幸

ビールライター、編集者。出版社などでライター・編集者として活動し、中国留学、英字新聞社勤務などを経てビールライターに。ビアジャーナリストアカデミー講師も務める。著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)。https://localandbeer.com